メルマガ Mail magazine

部下に責められたらパワハラ?

 立場上上司と部下でも、実際には部下が力を持っていることがあります。
通常、パワハラは地位が上の立場(上司)から下の立場(部下)に行われます。
仕事の関係性の中で部下が上司を責めるのもパワハラに該当します。

 パワハラ、パワハラ。パワハラと指導の境界は常に微妙なこともあり、上司が部下に対して話しかけるときは、パワハラに該当しないか気を付けないといけない毎日です。ずいぶんと神経をすり減らしている上司の方も多いことでしょう。なにしろ、しっかりしろと言うだけで翌日から休んで、心療内科の診断書が送られてきたりする時代ですから。なるべく余計なことを言うまいと思って、上司がうつ病になりそうですね。

 言いたいことを我慢しているだけならまだしも、実際の現場では、部下から上司に対してパワハラ的な言動を取られることも見られます。例えば、転勤などの異動や転職で新しい職場に移ると、古くからいる部下の方が取引先との関係や仕事の手順など現場の事情に詳しかったりもするので、上司だからと言って何でも言うことを聞いてもらえたりはしません。むしろ、上司のくせに何もできないと思われると馬鹿にされたり、上司なんだからしっかりしろというような感情的な嫌がらせを受けることも、しばしばみられる状況です。焦った上司がいろいろやって失敗すればするほど、ますます部下の視線は冷たくなり、言葉は厳しくなります。

 これをいじめと呼ぶかパワハラと呼ぶかはともかく、部下から上司に対して無理難題を言うようなことは、裁判にもいくつかなっているくらいです。一番よくあるパターンが、部下から上司への暴言と呼べるもので、上司から部下へのパワハラでもしばしばみられます。人間の社会では、すぐにマウントを取ろうと自分より弱い者をみつけるとやたらと攻撃的になる人がいますが、部下が上司に対しても自分の方が偉いんだぞという態度を取ることがあります。最近では「逆パワハラ」という言葉も少しずつ知られるようになってきましたが、経験豊富な部下による攻撃により出勤できなくなる例もあるようです。

 また、部下によるパワハラには、上司らしい態度を取ることを求めるケースもあります。例えば部下を自宅に招けとか、(参加しなくても)飲み会には応分の負担をしろとか言うようなことです。そもそも義務のないことですので、好意で自発的に行う分には問題なくても、あからさまな強要はやはりハラスメントにあたると言わざるを得ません。

 ハラスメントは、上司と部下のいずれの側からでも起こり得るということは、人間関係の中で相手を思いやる気持ちが無い場合には、ハラスメントと呼ばれる行動をしてします可能性があるということです。職場では誰に対しても思いやりの心をもって接してもらいたいと思います。

以上

関連記事

2025.02.25

就業規則に定めのない完全歩合制は有効か

 運送会社で単発の依頼に対応して荷物の集配を行うフリードライバー。採用面接で、完全歩合制であることの説明を受け、…

2025.07.14

求人票とは異なる雇用契約書を作成してもいいですか?

 求人票と相違する雇用契約書の労働条件は無効となる可能性があるので注意が必要です。  優秀な人材をスピーディに採…

2023.11.27

求人・労働条件通知書に明記すべき条件が増えます

 2024年4月から、労働者の募集や職業紹介事業者への求人の申込みの際、労働契約の締結・更新の際に明示すべき労働…

PAGE TOP

COPYRIGHT © SHINWA LAW OFFICE ALL RIGHTS RESERVED.