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美容整形手術トラブル

 最近は、美容整形手術がとても気軽に、手が届きやすい金額で受けられるようになり身近なものとなりました。しかし、実際に手術すると、想像とは違った!というケースもあると思います。法的にはどうなるのでしょうか。
 美容整形手術と言えば、すぐに思いつくものの一つとして、目を二重にする二重瞼形成術があります。男女問わず、パッチリとした目になりたいと思う人が多いようです。

 そんななか、二重瞼形成手術を受けた30代の男性が、美容整形クリニックを訴えたケースがありました。男性の言い分としては、二重瞼形成術の結果、左右の瞼の外観が非対称となった、右瞼の上に傷跡が残った、右瞼の引き込み力による違和感が残った等を理由として、クリニックに対して、損害賠償を求めました。
 裁判では、担当医師に手技(手術における技)上の注意義務違反があったかどうか等が問題となりました。
 東京地方裁判所は、手技上の注意義務違反があったと認められるためには、少なくとも、同手術によって形成された左右瞼の外観が、一般人から見て、対称性について違和感をもつ程度に至っていると認められることが必要であるとしたうえで、本件では一般人から見て違和感をもつ程度に至っていないとして、手技上の注意義務違反を否定しました。
 また、右瞼の上の傷跡についても同様に、一般人から見て、違和感を持つ程度に目立っているとは認められないとして、手技上の注意義務違反を否定しました。
 さらに、右瞼の引き込み力の違和感については、日常生活に支障を生じさせるような違和感ではなく、受忍限度の範囲の違和感にとどまるとして、手技上の注意義務違反を否定しました。
 説明義務違反についても争点となっていましたが、裁判所はこれを否定しています。
 美容整形手術は、怪我等の治療のための手術とは異なり、患者が求める姿(結果)と実際の姿(結果)が多少なりとも一致しないことの多い、そして、それが当該患者にとって非常に重要となりやすい性質のものと思われます。そのような場合に、術後の結果が自分の思い描いていたものとは違ったとしても、全てが医療ミスになるわけではありません。 
 裁判所は、一般人から見た場合に当該結果がどうなのかという視点で判断することになりますから、患者側からすれば不満の残る内容となりやすいのではないでしょうか。
 通常の医療行為でもそうですが、手術や治療を受けるにあたっては、事前に、医師からよく説明を聞き、疑問や不安等も伝え納得のいく説明を受けたうえで判断し、受けていただければと思います。

  以上 

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