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小泉進次郎と解雇規制の緩和

 9月27日に自民党総裁選が行われます。
 力候補の小泉進次郎氏が解雇規制の緩和を打ち出しています。
都市部は賛成、地方は反対の意見の中どうなっていくでしょう。

 岸田文雄首相がお盆の間に突然辞任を発表したため、今までにないくらいたくさんの候補者が名乗りを上げた自民党総裁選挙。9月27日も投票日まで激しい選挙戦が繰り広げられそうです。各候補ともにいろいろと公約を掲げており、中には弁護士として気にせざるを得ないものもあるのですが、解雇規制の緩和について議論が活発化しています。

 解雇規制の緩和、つまり、会社に要らない従業員を退職させることができる(もちろん金銭的な補償がセットになりますが)というのは、終身雇用制の下解雇が困難な日本の雇用環境が大きく変わるかもわかりません。

 中でも、有力候補である小泉進次郎候補が、出馬表明で解雇規制の緩和を打ち出したことは驚きをもって迎えられました。父の小泉純一郎元総理を意識したのか改革を前面に打ち出していますが、解雇が自由にできるようになると、雇用が不安定化するということで労働組合などの反発は必至とみられるからです。

 小泉候補の公約について報じたメディアの態度を見ると、日本経済新聞など中央のメディアは中立的な報道ですが(経済界が長年望んでいることでもあり、内心は賛成なのでしょうか)、地方の新聞社などは、解雇規制の緩和で労働環境が不安定化するのではないかということで消極的な反応が多く見られました。地方では、いったん職を離れると次の職場を見つけることが簡単ではなく、都市部との違いがみられるからです。最悪の場合、若者がより良い職場を求めて都会に出てしまうのではないかということもあるのでしょう。

 さて、解雇規制の緩和は、世界的に見ると最も厳しいのではないかと思われる日本の解雇を巡る規制に一石を投じるものとして、実務上きわめて重要な問題になります。

 解雇の有効無効を巡って、我々も多くの事件を扱い、裁判所も会社の完勝を認めるケースが少なく、仮に問題がほとんどなくても一定の金銭的解決をすることが多いことからすると、もしも規制緩和が行われることになれば、弁護士としてのアドバイスや実務も大きく変わらざるを得ません。

 候補者の中には、解雇規制の緩和を巡って様々な意見があるようですので、その点を意識して自民党総裁選挙を見るとまた違った視点で関心が持てるかもしれません。今のところ、次の総選挙の顔にふさわしいのは誰かとか、国民の人気が出るのは誰だというような話ばかりで、日本をどのような方向に導くのかという観点が欠けているのはとても残念ですね。

 いずれにせよ、私たちは、現在の解雇を巡る規制について十分理解し、日々の業務で活かしていくとともに、今後どのような法律の改正がなされるかなどについて将来に向けた関心を持つことが大切ですね。

以上

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