「赤いきつね」のCMに見るSNS時代の広告
「赤いきつね」のCMについて、一部から性的だと批判があります。
SNS時代には、中小企業も簡単に自社製品の広告が可能です。
広告がネットで炎上しないよう、表現に注意しましょう。
インスタグラムやTikTokなどのSNSを通じて、簡単に自社製品の広告ができるようになりました。インターネット通販を通じて世界的に販売したり、インバウンド客が来日して大量に購入してくれたりする(もちろん国内の購入が増えることもあります)ので、SNSは重要なマーケティングツールとなっています。
しかし、何事にも表と裏、光と影があるように、SNSの影響力の大きさを考えると広告宣伝にも注意する必要があります。最近話題となっている「赤いきつね」のCMを通じて、この問題を考えてみましょう。
「マルちゃん 赤いきつね」と言えば東洋水産を代表するカップ麺であり、食べたことがあるという人も多いのではないでしょうか。昭和53年8月の販売開始以来、長年に渡って数あるカップ麺の中でもトップ10にランキングしている人気の商品です。
問題とされたCMは、東洋水産の公式SNS上で公開された若い女性が暗い自室で恋愛ドラマを見て涙を流した後、赤いきつねを食べるというものです。女性の口元や、赤く染まった頬がアップで写されていることから問題とする意見がSNSで出始めました。
もっとも、そのCMのどこが悪いのかという意見も上がっており、一体何をもって正しいとすればよいのかということが問題となります。
法律家の視点からすると、議論されるべきは表現の自由や正義論などということになりますが、ベースとなるのは表現の自由であり、民主主義社会では最も重要な自由とされています。もっとも、広告は単なる個人の表現ではなく、企業の利益を目的とした商業的表現として、消費者に与える影響や社会的責任を問題にされることが多いものでもあります。
また、正義論の視点からは、特定の社会集団を差別的に扱ったり、ステレオタイプな偏見を助長したりしないようにするべきだということが言われます。
今回の「赤いきつね」のCMが適切か不適切かは意見の分かれる可能性がありますが、今のところ東洋水産は、問題がないという立場と思われ、一つの見識であります。
皆さんの会社でCMを検討する際には、社会に影響を与えることを意識した内容での制作、特定の価値観を過度に助長しないような多様な視点からの検討、クリエイティブな表現を過度な自粛によって損ねていないかなど多様な視点からの分析が必要になってきます。
最終的には、受け止める側の問題になるので、制作側がどんなに考えても思わぬ反応というのは出てくる可能性が残りますが、可能な限り事前に検討をしたうえで公開するという姿勢が、法的な問題(ネットでの炎上を含む)を防止することになると考えます。
以上