介護休業取得の基準
子育てとの両立支援としての育児・介護休業法見直しがクローズアップされていますが、介護休業・介護休暇に関しても4月1日から重要な改正、変更が予定されています。
まずは改正法の施行について。
現行法では、労使協定によって介護休暇の取得対象から除外できる労働者として、「継続雇用6か月未満の労働者」がありますが、この規定が廃止されます。
また、介護離職防止のための雇用環境整備のため、①介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施、②相談窓口の設置、③自社の労働者のこれら制度利用の事例の収集・提供、④自社の労働者へのこれら制度利用促進に関する方針の周知、のいずれかの措置をとる義務が課せられます。
最も重要なのは、介護離職防止のための個別の通知・意向確認等の義務です。介護に直面する前の早い段階(40歳)で、介護休業制度等に関して労働者に情報提供をしなければなりません。また、現実に介護に直面した旨の申し出をした労働者に対して、制度内容等について個別に周知するとともに、面談、メール等で個別の意向確認を行わなければなりません。
ところで、介護休業等の対象になる「要介護状態」=常時介護を必要とする状態についても、通達が改正され、4月1日から適用されます。
新しい通達では、「要介護状態」の判断基準が掲載されていますが、障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合が含まれることが明記され(ただし、乳幼児の通常の成育過程において日常生活上の必要な便宜を供与する場合は含まない)、高齢者を介護する場合に限られないことが明らかになっています。そして、常時介護を必要とする状態については、⑴12のチェック項目のうち、状態について2が2つ以上または3が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること、⑵介護保険制度の要介護状態区分が要介護2以上であること、のいずれかに該当する場合であると定められました。12のチェック項目の中には、たとえば、「外出すると戻れないことや、危険回避ができないことがある」とあり、状態1が「ない」、状態2が「ときどきある」、状態3が「ほとんど毎日ある」となっています。そして、注意書きにて、「危険回避ができない」とは、発達障害等を含む精神障害、知的障害などにより危険の認識に欠けることがある障害児・者が、自発的に危険を回避することができず、見守り等を要する状態をいうと示されています。このように、労働者にとっても会社にとっても比較的わかりやすい表現で基準が示されていますので、介護休業の対象になるのか疑問に思った場合は、確認してみるとよいでしょう。
介護休業規程の改正は、すでに対応済みの事業者がほとんどと思われますが、要介護状態の判断については規程の中には明記していないと思われますので、ご紹介する次第です。
以上