メルマガ Mail magazine

取引先の社長がトランプ大統領のように条件変更を言って来たらどうする

 米国のトランプ大統領が、突如として関税を大幅に引き上げました。
世界経済は大混乱となり、日本の会社にも影響が大きいです。
取引先が突然条件を変更して来たらどうするでしょうか。

 米国のトランプ大統領が、各国との貿易について関税を大幅に引き上げました。米国に対して輸出を行っていた会社はショックが大きく、世界経済の混乱は避けられない状況になっています。関税分を価格に上乗せすれば、米国における買主(消費者も会社もです)は買い控えを行うでしょうし、コストダウンなどで自社で関税分を吸収しようとしても利益の減少は避けられません。いずれにせよ、米国への輸出は減ってしまうことになるでしょうし、世界経済に急ブレーキがかかることになります。さらに言うと、米国に対してやり返すように中国も米国との貿易についての関税を大幅に引き上げました。このようなことが多国間で起これば一体どうなるのでしょう。

 皆さんの会社でも、仕入先や販売先との取引で価格交渉を行うと思いますが、相手の社長がトランプ大統領のように突然取引条件の大幅な変更を提案してきたとします。みなさんの会社では日頃からそうならないように取引条件の適正さを保ち、人間関係を維持しながらお互いに納得できる落としどころを見つけていると思いますが、それでも一方的に取引を見直すと言われることがあるでしょう。

 そんなトランプ大統領のような取引先に対抗するには、予め契約書によって取引条件を縛っておくことが考えられます。ただ、価格自体へ変動するものですから一定の価格そのものを契約書に記すことは難しいと思います。そこで、少しでも取引に関して価格変動の条件や内容に関するルール化をしておくことが考えられます。また、取引の期間についても簡単に打ち切られないようある程度の期間を確保しておくことが大切になります。

 さらに、独占禁止法による優越的地位の濫用に関する主張も知っておく必要があります。優越的地位の濫用というと大げさですが、要するに強い会社が弱い会社をいじめるようなことはしてはいけないということです。

 取引先との関係が元受下請にあたるなら、下請法の適用についても検討する必要があるでしょう。

 独占禁止法や下請法の話は、専門的になりますのでこれ以上振れませんが、それはないでしょというような取引条件の変更や一方的打ち切りの通知があった場合は、一度、弁護士に相談に行って、対応策を一緒に考えてみることも大切だと思います。

 2025年度は激動の一年になりそうですので、自分の会社をしっかり守っていけるよう法律に関する知識をしっかり持つ、自社で対応しきれない部分は専門家に相談するという意識をもって、会社のかじ取りをして行きましょう。

以上

関連記事

2017.11.20

飲み屋のツケも5年

民法改正のポイントをお伝えするシリーズ第3弾、今回は消滅時効についてです。 飲み屋のツケは、1年放置したら消える…

2025.03.10

職場ではみんな仲良く?

 人が集まると、どうしても好き嫌いは生じてきます。社員の孤立を防ぐ思いやりは大切です。会社としてはどこまでの配慮…

2018.12.10

NHKの受信料を払わないとどうなるのか?

昨年12月、NHK受信料に関して、最高裁で判断が下されました。 放送法の合憲性など色々と難しい議論はありますが、…

PAGE TOP

COPYRIGHT © SHINWA LAW OFFICE ALL RIGHTS RESERVED.