大阪高裁が同性婚を認めないことは憲法違反だと判断しました!
去る3月25日、大阪高裁は、同性婚を認めない民法などの規定が憲法に違反すると判断しました。
同性婚を認めない民法などの規定が憲法に反するとして全国的に裁判となっていますが、今回の大阪高裁判決は、高等裁判所として5件目の判決となります。これまで、2024年3月の札幌高裁、同年10月の東京高裁、同年12月の福岡高裁、2025年3月7日の名古屋高裁ともに、憲法違反であるとの判断がされていました。
大阪高裁は、一審の大阪地裁が合憲と判断した訴訟の控訴審であり、その一方、他の高裁が違憲判断を下している流れのなかで、どう判断するのか、とても注目されていたといえます。
これで高裁の違憲判断がそろい(東京高裁でもう1件訴訟が係属していますが)、いよいよ、最高裁判所の判断を待つところとなってきました。
詳細は割愛して、以下、大阪高等裁判所の言葉を、抜粋して、紹介します。
「(憲法24条の「婚姻」について)一男一女が継続的に共同生活を営む人的結合関係を典型とするものの、これに限られるものではなく、・・・国の伝統や国民感情を含めた社会状況における種々の要因を踏まえつつ、それぞれの時代の社会の在り方に相応しいものであるかという観点からの検討を経て、具体化されるべきものであり、同性婚の法制化の要否は、・・立法裁量の範囲の問題である・・。
そして、我が国においては法律婚を尊重する意識が浸透しており、婚姻は人生における幸福追求のための重要な選択肢になっている、相互に求め合う者同士が婚姻をすることができる利益は、人格的生存と結びついた重要な法的利益にあたり、同性カップルがこれを享受することができないのは、同性カップルの人格的利益を著しく損なうこととなる。婚姻制度は、自然生殖の可能性があることと一体のものとされておらず、自然な性愛感情を抱き合う関係自体を婚姻関係として保護するものであるから、それが同性であっても、関係を保護することに障壁がなければ異性と同等に扱うのが個人の尊厳の要請に適う。
同性愛は病理ではなく、性的指向は、ほぼ生来的に決定され意思によって変更することができない属性であることが明らかになり、性的指向による差別の解消の動きは国内外で活発化し、同性婚を法制化する諸外国の情勢等を受けて、我が国においても、地方公共団体におけるパートナーシップ認定制度が急速に広がり、各種団体から同性婚に賛同する意見表明がされ、世論調査においても同性婚の法制化に賛成する意見が反対意見を上回るなど、同性婚の法制化を受け入れる社会環境が整い、国民意識も醸成されている。
現時点において同性婚を法律婚の対象としない本件諸規定は、性的指向が同性に向く者の個人の尊厳を著しく損なう不合理なものであり、かつ、婚姻制度の利用の可否について性的指向による不合理な差別をするものとして法の下の平等の原則に反する・・・憲法14条1項及び24条2項に違反する。」
G7の中で、同性婚を認めていないのは日本のみです(カトリック教の強い影響のあるイタリアは、市民連帯という法制度を設けています。)。また、日本は、国連からLGBTQ+の人々に対する差別を解消し、これらの人々の権利を保護するための具体的な措置を取るよう勧告されています。
また、最近の日本国内の世論調査では、同性婚を支持する意見が過半数を占めており、特に若年層でその傾向が顕著となっています。
同性婚だけでなく、選択的夫婦別姓など、家族、夫婦、あるいは生き方に対して、私たちはどう感じ、考えるのか、とてもシンプルだけれども深い問いを投げかけられる時代となっています。
一人ひとりが、それぞれの立場や価値観のもと、いろいろな意見を持つところでしょう。
自分と同じ、あるいは、自分とは異なるとしても、異なる立場の人に対して、どのように考えていくのか、思いやり、寛容さをもって、議論を尽くしていただきたいと思います。
以上