うちの弁護士、夜ホストクラブでバイトしてるらしい
副業・兼業の禁止を定める就業規則は多くあります
禁止の理由は、仕事に身が入らなくなる、会社の評判が悪化するなどです
働き方が変わり、副業・兼業がこれからも増えるので企業として対応検討が必要です
あくまでも、あくまでも架空の話としてお聞きください。うちの事務所の若くてイケメンの新人男性弁護士は、最近、夕方になるとそそくさと帰り支度を始めます。最初のうちは、彼女でもできたのかなと思っていた周りの社員も、彼が髪の毛を金髪に染めて、ピアスを付けてきたときは驚きました。ここで、服装や身だしなみが風紀を乱すということで懲戒処分できるのかという問題がありますが、それはひとまずまたの機会にします。
やがて、SNSを通じて新人弁護士がホストクラブで夜中までアルバイトしていることがわかりました。道理で朝から酒臭かったり、居眠りしているはずです。
慌てた所長は、新人弁護士を別室に呼び、一体どういうつもりなんだと質問しましたが、どうしてでしょうとのらりくらりと交わしています。頭に血が上った所長は、新人弁護士に、「お前なんかくびだ!」と怒鳴ってしまいました。ここで、懲戒手続の有効性とパワハラという2つの論点がまた出てきますが、こちらもまたの機会にさせてください。
新人弁護士は、自由時間は自分の時間ですから文句を言われる筋合いではないと言い返してきましたが、所長は、副業・兼業は就業規則で禁止されていると更に言い返し、弁護士同士の議論は白熱して終わることを知りません。
そもそも、副業・兼業の禁止はかつては厚生労働省のモデル就業規則にも定められているものですが、社員の自由時間を制限するような規定が有効と考えられていることはなぜでしょうか。
副業・兼業禁止規定の有効性が争われた裁判では、勤務時間以外の過ごし方は原則として自由であり、労務の提供に支障を来たしたり、あるいは企業の経営秩序を害し、企業の対外的信用、対面が傷つけられるような事情がある場合に、副業・兼業を制限することを有効と判断しています。
労務の提供に支障を来たすかというのは、要するに本業に身が入らなくなるかということです。今回の場合、新人君は、あくびをしたり、居眠りをしたりしているということなので、労務の提供に支障を来たしているとされる可能性が高いでしょう(昼夜普通に働ける鉄人のような人も時々いますが)。
また、企業秩序違反とはつまり、会社として目に余るかどうかなのですが、ホストクラブの格好で法律事務所に勤務することは、一般的には望ましいことではないでしょう。ただし、最近は服装が自由な事務所も多いのでボーダーラインをどこに引くかは難しいものがありますね。
2018年にはガイドラインが作られており、厚生労働省のモデル就業規則も変更されました。インターネットからも検索することができるので、気になったらすぐクリックしてみてください。
副業・兼業は労働時間の管理など事業者の安全管理(過労、事故対策)や割増賃金などについても問題がが生じうるところですので、少しでもリスクを感じたら弁護士など専門家に相談してみましょう。
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