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職場でも熱中症対策を

 労働安全衛生規則が改正され、6月1日から職場での熱中症対策が義務づけられます。罰則もありますので、内容をチェックしておきましょう。
 熱中症による死亡災害は、令和4年、令和5年と連続で30人に上っています。また厚労省によると、熱中症死亡災害のほとんどについて、初期症状の放置、対応の遅れがみられるとのことです。

 そこで、労働安全衛生規則が改正され、熱中症対策が義務づけられることになりました。5月20日には、厚労省がこれに関する通達も出していますので、その内容も少し織り交ぜながらご紹介します。

 義務の内容は大きく2つあります。1つめは、熱中症の報告体制を整備し、そのことを周知すること、2つめは、熱中症の症状悪化を防止するために必要な措置・実施手順を定め、周知することです。対象となるのは、WBGT28度以上または気温31度以上の環境下で連続1時間以上または1日4時間を超えて実施することが見込まれる作業です。WBGTや気温は、実測することが原則ですが、天気予報や環境省の熱中症予防情報サイトなどで確認することでも構いません。

  報告体制としては、「いつもと違ったら報告しましょう」というだけではなく、職場巡視やバディ制の採用、ウェアラブルデバイス等の活用、双方向での定期連絡などで積極的に把握するよう努めましょう。もちろん、体制を整えるだけではなく、報告を随時受けられる状態であることが必要です。

 症状悪化を防止するための措置としては、当該作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること、が規則では具体例としてあげられています。これらの措置の手順を定めておくとともに、連絡体制も整備しておきましょう。

 周知の方法としては、掲示、メール送付、文書の配布、朝礼での伝達などが考えられますが、漏れなく確実に伝わるように、適宜複数の方法を組み合わせて行いましょう。

 これらの義務を怠った場合は、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。  ところで、今回の労働安全衛生規則改正は、熱中症が起こりうることを前提に、発症の際に適切かつ速やかに対応できるよう体制を整えることを義務づけるものです。しかし、そもそも熱中症が起こらないように対策をすることも必要です。日差しを遮る屋根をつける、冷房のきく休憩室を準備する、水分や塩分の摂取を指導する、作業時間を短縮するなどの対策を検討しましょう。必要な対策を怠った結果、労働者が熱中症にかかった場合、労災となるだけでなく、使用者が安全配慮義務に違反したものとして、損害賠償責任を負う可能性もありますので、対策は必須です。

以上

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