循環取引にご注意
東証グロース市場に上場していた「オルツ」の元社長が逮捕されました。
循環取引により粉飾決算をしていたようです。
循環取引とはどんな問題があり、どういう点に注意しておくべきでしょうか。
東京証券取引所のグロース市場(成長が見込まれる会社が上場する取引所ですね)に上場しているオルツの元社長らが、粉飾決算の疑いで逮捕されました。
オルツは、AIを用いた議事録作成のサービスで急成長し、上場までしたのですが、広告会社に広告宣伝費を支払い、広告会社から別の会社に資金を移動させて、その会社がオルツのサービスを購入すると言うことを繰り返して売上を水増ししていたと報道されています。3年間で111億円の売上の水増しがあり、オルツの売上の8割を超えていたというのですからびっくりですね。
オルツが行っていたやり方は、「循環取引」と呼ばれるもので、いったん自社の資金を何か理由を付けて他社に支払い、そこから別の会社を通じて資金を最終的に戻すもので、ぐるぐるお金が回ることから「循環取引」と呼ばれています。
実際に、物やサービスが移動することがないか、あるいは、移動しても形だけであり、簡単に売上を伸ばせるため、昔から繰り返し行われてきました。もちろん、実質を伴わないのに会計上の数字(売上)を膨らませることになるので違法となり、上場企業などでは有価証券の虚偽報告として刑事事件になったりします。
それでも、簡単に売上を計上できるので業績を良く見せることができ、融資を受ける際にも有利に扱ってもらいやすいことから、昔から何度も事件になったりして報道されています。カネボウやオリンパス、東芝などで決算間際に循環取引あるいはそれによく似たやり方で決算上の数字を良くしていたケースが知られているものです。
しかし、実際には内容がないうえに、自分のお金をグルグル回しているだけですからやがては破綻することが確実なやりですから、どこかで資金繰りがストップしてしまえば、循環取引は終了し、お金が戻ってこない会社は損をすることになります。
循環取引が続けられなくなると、大きな損失が出たり、売上が作れなくなるためその会社は社会的信用を失い、金融機関や取引先から今後の取引を断られることになったりします。結果として、倒産に至るケースも少なくありません。上場企業では上場廃止のリスクもあります。さらには、循環取引に関わった役員などが損害賠償を受けたり、刑事事件として処罰されたりするケースも見られます。
自ら循環取引を行うことは決して行ってはいけないことですが、まきこまれないようにするためにも、自社の売上の内容(取引先、売上の伸びなど)を経営者の方はしっかり確認しておく必要があります。
どの会社も、最初は一回だけと思うのですが、だんだんとそれを繰り返し、やがては大きな問題になるというのが循環取引の恐ろしいところですのでご注意ください。
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