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取引の新ルールがスタートします。

 いわゆる「下請法」が大幅に改正され、新しい法律名「中小受託取引適正化法」として、来年1月1日より施行される予定です。かなり大がかりな改正となりますが、今回は実務上の影響が大きそうな3点に絞ってポイントをご紹介します。

1 従業員基準の追加
  これまで下請法の適用範囲は、主に資本金規模によって判断されていましたが、改正により「常時使用する従業員数」も新たな基準として加えられました。例えば、製造委託や修理委託では従業員数300人超、情報成果物作成や役務提供委託では100人超の事業者が委託事業者に該当します。これにより、これまでは規制を受けなかった資本金の小さな会社でも、新たに適用を受ける対象となりえます。また、資本金が大きくても実際の規模が中小企業に近い事業者が新たに保護対象となり、発注側企業は自社取引先が該当するかを改めて確認する必要があります。
 資本金の情報は、登記で簡単に確認できるのに対して、取引先の従業員数は常に変動する可能性があり、把握も用意ではありません。継続的に取引を行う相手先については、定期的に確認するフローを定めておくことが必要です。

2 手形による支払の禁止
  下請法では、60日ルールの中では手形による支払が許容されていましたが、改正法ではいよいよ禁止されることになりました。電子記録債権なども含め、割引手数料等の負担を伴う支払方法は禁止されており、中小事業者が実際に受け取る金額を確保することが狙いです。発注企業にとっては、資金繰りや支払サイトの見直しが必要となるでしょう。

3 特定運送委託の追加
  下請法では、発荷主が自社の事業のために運送事業者に運送を委託することは適用の対象外でした。しかし、このような特定運送委託についても、改正法の適用対象となります。自社が販売する商品の輸送を運送業者に委託する場合が適用対象になるわけですから、対象が格段に広がったといえるでしょう。

 なお、あわせて運用基準も改正されています。重要な変更点をひとつご紹介しておきますと、代金の振り込みの際に、振込手数料(実費)を差し引くことは、たとえ合意があったとしても禁止されることになりました。現状、多くの取引で行われているかと思いますので、見直しが必要です。

以上

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