コラム
家賃が高過ぎて住めません!それでも値上げ通知が来たら

都市圏の新規賃料は、増額の一途をたどっています。
つられて、既に住んでいる人の家賃も増額請求されるケースが多くなっています。
賃料増額の通知が来たらどうしたらよいでしょう。
令和7年9月4日の日本経済新聞朝刊の報道によると、主要都市のマンションの家賃が上昇し、家計を圧迫しているとのことです。特に東京23区では、可処分所得に対する家賃の割合が、3割を超えており「危険水域」とも言われています。東京以外の都市でもコロナ前と比べて家賃負担の割合は上昇し続けるなど、賃上げよりも物価の上昇が大きいことが家賃相場を直撃しています。
こうした情勢を受け、オーナー(貸主)から賃借人に対して「賃料の増額請求」がなされる場面が増えており、われわれの事務所にも連日、「内容証明が届いた」、「家賃を倍にすると言われた」などの相談が届いています。
もともと、家賃は「賃貸借契約」(入居時に契約書を作っていますね)に基づいて発生しており、最初の家賃は貸主と借主が合意して決めていますし、契約の自由という観点からは、変更も自由にできることになるはずです。
しかし、賃料は自由に変更できるわけではなく、住居が生活に不可欠であることから借主(賃借人)を保護するために法律上の制約があります。
すなわち、建物賃貸借における賃料改定は、借地借家法32条により行うことが必要です。同条は、契約書の条項がどう書かれていても適用される法律ですのでご注意ください。条文を読むと「経済事情の変動」「近傍同種建物の賃料との比較」などにより、賃料が不相当となった場合、貸主・借主いずれからも増減額の請求ができると定めています。
つまり、賃料は契約で定められていても、社会経済状況の変化によって見直しが認められる仕組みです。単に貸主が「利益を増やしたい」という理由だけでは認められません。
実際に賃料増額が認められるかどうかは、以下の要素を総合考慮して判断されます。
- 近隣の同種・同規模マンションの賃料水準との比較
- 公租公課や維持管理費の増加
- 建物の築年数や設備更新の有無
- 入居需要の高まりや市場全体の動向
並べて書いてもわかりにくいのですが、一定のルールでこれらの要素を計算して、適切な家賃(相当賃料と言います)を決めていくことになります。
一般的な流れとしては、最初に、オーナー(貸主)が内容証明郵便などの通知書で増額請求を行います。この段階でびっくりして相談に来られる借主もかなりあります。しかし、慌ててはいけません。オーナー(貸主)が通知に書いた金額がそのまま裁判などでも認められるものではないのです。最終的に決着するまでは、借主は今までどおりの家賃を支払っておればよく、差額は後日精算することができます。
もし、通知に書かれた金額あるいはその後の話し合いで落ち着く金額にならない場合、オーナーは、簡易裁判所に賃料増額の調停の手続を取ることになります。調停は裁判所で行われる話し合いですが、話し合いの仲介に調停員と呼ばれる裁判所から選ばれた2名の人が話をまとめることができないか、間に入ってくれます。通常、一名は賃料を計算する専門家である不動産鑑定士であり、ケースによっては落としどころとなる家賃(賃料)について双方に提案をしてくれることもあります。
それでも決着がつかなければ、いよいよ裁判(訴訟)となり、最終的には適正な家賃(賃料)を不動産鑑定士が鑑定して、それを元に裁判所が判決という形で判断します。
借主の立場からすると、突然の増額請求に不安を抱くことが多いでしょう。請求根拠や近隣相場を確認して、いくらくらいが妥当なんだろうという判断が必要ですが、実際に情報を集めるのは大変なので、弁護士などの専門家に相談するのが良いかと思います。家賃(賃料)は毎月発生するので、その負担を考えれば弁護士費用も決して高くはありません。
以上
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