コラム
「色恋営業事件」に学ぶ営業トークの限界

ホストクラブの「色恋営業」が社会問題化し法規制もなされています。
歌舞伎町のホストクラブに対し、初めて行政処分が下されました。
営業が行き過ぎると、問題が起こりますがどこまでがOKでしょうか。
ホストクラブで、お客様の女性に恋愛感情を抱かせて高額の飲食代を払わせる「色恋営業」と呼ばれるものが社会問題化し、法律の改正もされました。「色恋営業」が営業と呼べるかどうかは別として、数字のノルマを達成するために手段を択ばない営業が行われることは、業界を超えて見られるところです。
先日、東京・歌舞伎町のホストクラブで、「色恋営業」が問題となり、全国で初めて行政処分が下されました。従業員がマッチングアプリで女性客と出会い、自身がホストである事実を隠して来店させ、結果として高額な料金支払いを繰り返させていたものです。男性のスマホからは、女性の資産情報や高額請求のための計画メモが多数発見されています。
この事件は、ホストクラブという普段の生活であまり接点のない世界の営業トークの範囲を超えて、顧客の心理や状況を悪用した営業手法が法規制の対象となるという重要な問題を含んでいます。では、どこまで営業トークが許されるのでしょう。
営業とは、自社と顧客との関係性を築いて顧客に対し価値ある提案を行い、顧客の課題解決につなげる活動です。自社と顧客との信頼関係が強固であるほど、提案内容に耳を傾けてもらえる可能性は高まりますし、極端に言うとなんかよくわからないけどあなたが言うからそうしましょうと言ってもらえることがあります。カリスマ営業マンと言われる人はだいたいどの業種でもこんな感じに強い信頼関係に基づいて顧客にアドバイスを行っています。
一般の営業トークで、一定の大げさな表現(例:「業界トップクラス」「多くの方に選ばれています」など)は、直ちに違法とはなりません。広告・営業活動に関しては、難しい表現をすると「社会通念上許容される表現」かどうかが判断基準とされる場合があります。
ただし、次のような行為は許容されません。
- 事実と異なる具体的説明
例:実績や効果について根拠のない断定的な説明をする行為
② 重要な不利益情報の隠蔽
顧客が合理的判断をする上で重要な事実を故意に伝えないこと
- 心理的依存を利用した勧誘
恋愛感情や特別な関係を装い、顧客の判断力を著しく低下させる行為
これらは、景品表示法や消費者契約法、不法行為責任、さらには業種ごとの特別法(例:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律〔風営法〕)などに違反する可能性があり、民事上は損害賠償責任、行政・刑事の罰則などに繋がることがあるので注意が必要です。
今回の「色恋営業」に対して行政処分が下ったのは、顧客の心理的信頼を不当に利用し、高額な負担を強いる営業手法が、社会的に許容される範囲を逸脱していると判断されたためです。これは単なる営業トークの範囲ではなく、顧客の合理的判断を阻害する違法性の高い行為であると評価されています。
そこで、実務上は以下のようなポイントを社内で共有し、違法にならないよう(コンプライアンスですね)気を付けましょう。
- 説明の根拠を明確にすること
数字や効果など具体的な説明には、客観的な裏付けが必要です。
- 顧客の合理的判断を尊重すること
顧客が自らの意思で判断できるよう、適切な情報提供と十分な時間を確保します。
- 感情的関係を営業に利用しないこと
特定の心理的関係を利用して特別な支出を強いるような表現や方法は避けるべきです。
以上
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