コラム
研修旅行での事故に見る安全配慮義務

某高校が平和教育のための沖縄旅行中事故で死亡しました。
学校側は生徒の安全を守る義務を果たせていたのでしょうか
自分の会社は、社員を守る義務を果たしているか再確認が必要です。
報道によれば、京都府の私立高校が、平和教育の研修ために訪れていた沖縄県において、ボートの転覆事故により死亡するという痛ましい出来事がありました。このメルマガでは、特定の誰かを批判することが目的ではなく、話題となった出来事を通じて自分たちの会社をどう守り、どう強くするかを考えるものですので、事故の原因等についてはこれ以上ふれることはしません。
そして、本件事故で学校側の責任はということがクローズアップされることで、「安全配慮義務」という法律上重要な考え方が改めて問われています。学校と生徒の関係は、ある意味、会社と社員の関係にも似たところがあるので、安全配慮義務について説明と、注意点について述べたいと思います。
「安全配慮義務」は、裁判例により積み重ねられてきた法律的な表現の言葉であり、現在では、労働契約法第5条で、使用者に対し「労働者の生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をする義務」が定められています。すなわち、企業は社員(労働者)に対し、単に業務を指示するだけでなく、社員が安全に働ける環境を整備し、事故を未然に防止する責任を負っています。
法律では、一般的な表現が取られていますが、実際に問題になるのは、「じゃあ、どこまで配慮すれば足りるのか」という点です。この点が争いになると裁判へと進むのですが、これまでいくつも出されている裁判例では、業務の内容、危険性の程度、予見可能性、回避可能性などを総合考慮して判断しています。たとえば、危険を伴う業務については、十分な教育・訓練の実施、マニュアル整備、監督体制の構築が求められます。また、長時間労働やメンタルヘルス不調についても、安全配慮義務の対象となることは広く認められています。
さらに最近では、業務外の活動や社外行事(研修、懇親会、出張等)においても、会社の関与や管理可能性が認められる場合には、安全配慮義務が及ぶ可能性があります。本件のように学校外での活動中の事故であっても、管理体制や指導内容が問われ得る点は、会社にとっても注意が必要だと思います。
そこで、会社としては、以下の点を改めて確認することが重要です。
・リスクアセスメントの実施と記録化
・安全教育・研修の定期的な実施
・リスクアセスメントの実施と記録化
・安全教育・研修の定期的な実施
・事故発生時の報告・対応フローの整備
・ハラスメントや過重労働への予防措置
・社外活動時の安全管理ルールの明確化
安全配慮義務違反が認められた場合、会社は損害賠償責任を負うだけでなく、今回の学校事故のように広く報道されたり関係者に知れ渡ることで社会的信用の毀損にもつながります。日常的な管理体制の見直しを、日頃から心がけることこそが最大のリスク対策といえるでしょう。
事故は起こってしまってからでは遅いということを肝に銘じて、日々の会社経営がなされてもらいたいと思います。
以上
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