2026.05.11

あらためて「同一労働同一賃金」について見直してみましょう。

 本年4月28日、改正同一労働同一賃金ガイドラインが公布されました。本年10月1日から適用されます。

近年、人材確保や定着の観点からも注目されている「同一労働同一賃金」について、厚生労働省がガイドラインの見直しを行いました(厚生労働省のウェブサイトにて公開されています)。今回の改正は、これまで曖昧だった判断基準を整理し、企業にとってより実務的な対応が求められる内容となっています。

そもそも同一労働同一賃金とは、正社員とパート・有期雇用・派遣労働者との間で、不合理な待遇差を設けてはならないというルールです。このルール自体はすでに施行されていますが、現場では「どこまで対応すればよいのか分からない」という声が多くありました。

今回の見直しは、そうした課題を踏まえ、近年の裁判例を反映して、「何が不合理なのか」をより具体的に示した点に特徴があります。

まず大きなポイントは、各種手当や待遇について具体的な判断基準が示されたことです。例えば、賞与、退職金、家族手当、住宅手当、無事故手当、夏季・冬季休暇、病気休職といった項目について、「どのような場合に差を設けると問題になるか」が明文化されました。これにより、従来のように「正社員だから支給」「非正規だから不支給」という運用は、ますますリスクが高くなっています。

また、手当の“目的”で判断するという考え方も重要です。

例えば、生活補助(家族手当・住宅手当)であれば、同じように生活を支える必要があるなら差はつけにくい、となり、業務貢献(賞与)であれば、同じ貢献なら支給が必要というように、単なる雇用形態ではなく、「なぜ支給しているのか」が問われます。

もう一つ重要なのは、待遇差をなくすために正社員の待遇を下げるのは望ましくない
と明確に示された点です。むしろ、非正規側の待遇を引き上げるという方向が基本になります。

 そして、実務上最も重要なのは、「合理的に説明できるか」という点です。企業は、従業員から求めがあれば、なぜ待遇差があるのか、その理由は何か、を説明する義務があります。今回の改正により、この説明のハードルが上がりました。

 つまり、「正社員だから」では通用せず、「役割・責任・配置変更範囲が異なるため」といった、合理的な説明ができるかどうかが問われます。

さらに、今回の改正では、勤務地限定社員、職務限定社員、短時間正社員といった「多様な正社員」も整理され、今後は、正社員 vs 非正規だけでなく、社員同士の比較も重要になります。

経営者の皆様におかれましては、今回の改正を踏まえて、
①手当・制度の棚卸し、②各手当の「目的」の明確化、③職務内容・責任範囲の整理、④説明できる制度への見直し、⑤非正規社員の待遇の再確認を、特に「説明できるかどうか」という視点から行うことが重要といえます。

以上

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