コラム
パワハラ!パワハラ!パワハラ!

ニデックの不正会計問題について第三者委員会の調査報告書が発表されました。
創業者の強烈なパワハラが原因として指摘されています
パワハラと激励の境目を考える必要があります。
ニデック(旧日本電産)と言えば、創業者が強烈な個性の下一代で巨大上場企業を築き上げたことで有名です。本社のある京都では、同じく有名企業の京セラよりも少しだけ高い(つまり京都一高い)本社がそびえたっています。
また、創業者の経営方針はたくさんの本として出版されていたり、講演会も多数開かれていました。採用のときに、ランチを早く食べた順に採用したなど、数々のエピソードが知られています。そう言えば、うちの事務所でも、一番たくさん食べた人を採用したりしていた(その人は立派なパートナーに成長した)なので、意外と早食いエピソードが刺さっている会社は多いのではないでしょうか。
そんなニデックが、グループ企業で多数の不適切な会計処理(つまり不正な処理で業績を水増ししていた)が明らかになり、外部の弁護士らの第三者委員会が不正の内容や原因を調しました。調査報告書が最近公表されましたが、将来の販売見込みが低い製品にも資産性があるように処理するなど、複数の拠点で不正会計が確認されたとされています。さらに、その背景として、創業者の強い影響力や、経営トップの意向を過度に忖度する企業風土があった可能性が指摘されています。
ニデックは世界的なモーターメーカーであり、創業者の強いリーダーシップによって急成長を遂げてきた企業です。一方で、社内では「目標未達は罪」といった厳しい成果主義や、強い叱責を伴う指導が行われていたとの指摘もあり、こうした経営スタイルがパワハラ的な企業文化につながっていたとの見方は否定できません。
創業者の書いた本を改めて読み直すと、確かにパワハラ気質はすごく感じられます。もっとも、今回の件が明らかになるまでは強いリーダーシップがほめたたえられていたことも忘れてはいけません。
今回のパワハラ問題の特徴は、個人的な問題ではなく、創業者以下の組織全体にパワハラが生じやすい文化があったことです。強いトップダウン型の組織では、上位者の意向が絶対視され、異論や内部通報が機能しにくくなる傾向があります。その結果、ハラスメントだけでなく、不正会計などのコンプライアンス違反も発生しやすくなることは、これまでも多数繰り返してきました。
2020年にいわゆる「パワハラ防止法」(改正労働施策総合推進法)が施行され、企業にはパワハラ防止措置を取る義務があります。相談窓口の設置、調査体制の整備、再発防止策の実施などが求められます。
しかし、制度を整えるだけでは十分ではありません。実際には、経営トップを含めた企業文化そのものが変わらなければ、問題の根本的な解決にはつながらないのが実情です。会社同士の競争があるので頑張らないといけないのも事実ですが、やり過ぎてパワハラになってしまってはかえって社員の気持ちも離れますし、ニデックのように不正に処理したりして目標達成のために頑張るのではなく、会社や上司から怒られないように数字をごまかすといった本末転倒な結果になりがちなので十分気を付けましょう。
以上
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