コラム
災害時のための安全管理体制

地震後の二次災害から社員を守る。
2026年7月28日に発生した熊本県を震源とする地震では、多くの建物が激しい揺れに見舞われました。その中でも大きな衝撃を与えたのが、イオンモール熊本で、来店客の避難が完了した後に爆発事故が発生し、多数の死傷者が出た事故です。報道によれば、地震発生から約80分後に館内で爆発が起こり、建物の一部が激しく崩落しました。原因は調査中ですが、ガス漏れが関係した可能性が指摘されています。
この事故は、「地震そのもの」だけでなく、「地震後の二次災害」の恐ろしさを改めて私たちに教えました。そして、企業にとっては、災害時の安全管理体制や日頃の訓練の重要性を考える大きな契機になったといえます。
地震というと、建物の倒壊や家具の転倒を思い浮かべがちですが、実際にはその後に発生する火災、ガス漏れ、爆発、停電、エレベーター閉じ込めなどの二次災害によって被害が拡大することが少なくありません。
今回の事故でも、建物は揺れに耐え、来店客も速やかに避難したものの、その後に爆発が発生しました。つまり、「避難が終われば安全」というわけではないことが明らかになったのです。企業は、従業員が安全に働ける環境を整える義務(安全配慮義務)を負っています。
災害時においても、適切な避難誘導が行われていたか、危険区域への立入りを防止していたか、従業員の安否確認体制が整っていたか、災害発生後の行動基準が定められていたか
などが問われる可能性があります。
特に店舗や工場、物流施設など、多くの従業員や来客が利用する施設では、平時から具体的な対応を決めておくことが重要です。
今回の事故では、来店客は避難していた一方で、館内に残っていた又は館内へ戻った従業員が被害に遭ったと報じられています。イオンの記者会見でも、「一般的には避難した後は建物へ戻らない」との説明がなされています。
現場では、「忘れ物を取りに行く」「設備を確認する」「レジを締める」「商品を片付ける」といった行動を取りたくなることがあります。しかし、地震直後の建物内では、ガス漏れ・天井材の落下・余震による倒壊・電気設備の異常など、目に見えない危険が数多く存在します。
「まず命を守る」「安全確認が終わるまで建物へ戻らない」というルールを徹底することが何より重要です。
多くの企業では避難訓練を実施していますが、「揺れが収まったら避難する」という訓練だけでは十分ではありません。地震後の立入禁止区域の設定・ガス漏れを想定した対応・安否確認の方法・災害対策本部の立ち上げ・帰宅困難者への対応・情報伝達の手順まで含めた実践的な訓練が求められます。また、管理職だけでなく、パート・アルバイトを含めて全員が対応を理解していることも重要です。
災害時には、現場の混乱の中で経営者や管理職の判断が従業員の行動を左右します。
「商品より人命を優先する」「営業再開より安全確認を優先する」という判断を日頃から社内で共有しておくことが、被害の拡大を防ぐことにつながります。
災害はいつ発生するか分かりません。しかし、日頃からの訓練やルールづくりによって、多くの命を守ることはできます。
防災は「コスト」ではなく、従業員と顧客の命、そして企業の信頼を守るための重要な投資です。この機会に、自社の災害対応体制を改めて見直してみてはいかがでしょうか。
以上
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