2026.06.22

同族会社には競争優位性がある?

 皆さんは同族会社という言葉にどのようなイメージを持っておられるでしょうか。

一般的には、「身内びいき」「公私混同」「お家騒動」などといった、マイナスのイメージを持たれることもあるようです。もしかしたら、このメルマガの読者の方にとって同族会社は身近な存在かもしれませんが、このような同族会社のマイナス面が出てしまったケースを目にされたこともあるでしょう。

 しかし、実は様々な調査では、同族会社には競争優位性があることが示されています。先般、経済産業省が公表した「ファミリーガバナンス・ガイダンス」でも、ファミリービジネスの強みとして、
・長期的な視点で経営できること
・迅速な意思決定ができること
・地域経済や日本経済の牽引役であり、地域社会へも貢献していること
が挙げられています。
 また、同ガイダンスでは、同族企業は非同族企業よりもROA(総資産利益率)が高いという研究や、後継者が若くして経営を承継し長期的な視点で経営している企業ほど企業価値が高い傾向があることも紹介されています。

反面、「家族」「所有」「経営」がほぼ一体化している創業期から、企業の成長につれて、これらが徐々に分離・複雑化することで、ガバナンス上のリスクが顕在化しやすいとも指摘されています。これらが顕在化したケースが、「身内びいき」「公私混同」「お家騒動」などとして認識されているわけです。

 「ファミリーガバナンス・ガイダンス」では、ファミリービジネスの強みを活かして、持続的な成長を可能にするための提言がなされています。主に想定されている対象は中堅企業ですし、「そもそもこんなこと、国から言われるようなことなの?」と反発したくなるような話でもあります。しかし、ファミリービジネスの強みを活かして成長を続けている企業(海外事例を含む)を研究した成果としてまとめられているものであり、中小企業にも参考になるものとして発表されていますので、その内容を知っておいて損はありません。
 同ガイダンスは、まず、ファミリーの理念・価値観・ビジョン等を明確にし、文書化して共有することを推奨しています。これは、ファミリービジネスに限らず、多くの企業で「経営理念」などとして取り組んでいるのではないかと思います。

次に、ファミリーの意思決定のルールを明確にしておくことが推奨されています。この中には、意思決定をどのような場で、どのような方法で行うのかということに加えて、誰をファミリーとするのか、ということも含みます。代が進んでいくと、創業者の血を引く人は膨れ上がっていきますから、どのようなルールでファミリーメンバーを決めるのか、あらかじめルール化しておくということです。

加えて、ファミリービジネスの所有・経営の承継方針を早期に定めることも推奨されています。所有・経営を一体化させたままにするのか、経営を分離するのかということや、後継者の決定方針、さらには、承継後の先代の役割をどうするか、といったことです。

さらには、ファミリービジネスへのファミリーの関与方針、たとえば、ファミリーメンバーの入退社や役員就任について明確な基準やプロセスを設ける、などが重要とされています。ファミリービジネスが成長していくにつれ、ファミリーメンバー以外の人材確保の重要性は増していきます。ファミリーメンバー以外の人材からみても公正・公平なルールがある方が、長期的な成長に資するといえるでしょう。

 同族会社の問題は、同族であること自体にあるのではありません。お家騒動や公私混同を防ぐ仕組みを整えることで、長期的な視点や強い当事者意識という同族会社ならではの強みを生かすことができるでしょう。

以上

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