モームリ摘発!退職代行にどう対応する?
退職代行の「モームリ」の運営会社が弁護士法違反で捜索を受けました。
弁護士法違反とはどういうことでしょう。
これから退職代行業者からの通知への対応は変わるのでしょうか。
ある日突然、知らない会社から社員の退職届が送られてきて、本人とは一切直接連絡のないままに退職日を迎える。初めて聞いたときは不思議な気持ちになりましたが、気が付くと全国で50を超える業者が、退職代行を行っていることがわかっています。皆さんの会社にも、退職代行業者から連絡が来たことがあるかもしれません。
退職代行業者の中でも知名度の高かった「モームリ」を運営する会社が、10月22日、警視庁から家宅捜索を受けたことがニュースになりました。いろいろな報道によれば、退職希望者を弁護士に紹介して紹介料をもらっていたという弁護士法違反ではないかということが問題になっているようです。また、報道によっては、弁護士法で弁護士しかできない業務をやっていたのではないかということも言われています。いずれにせよ、退職は法律的な問題であり、そもそも退職代行はグレーではないかという議論もありましたので、「モームリ」運営会社は一線を越えてしまった疑いがあると言うことかと思われます。運営会社側はHP等で今までの顧問弁護士を辞めさせて、新しく別の弁護士と顧問契約を結びなおすなど体制を変更していますが、一度マイナスイメージがついたことで今後の運営はかなり厳しくなるのではと予想されます。他社との差別化がなかなか難しい業態だけに今後が注目ですね。
では、従業員が退職代行会社を利用して退社の連絡をしてきた場合、どんな点に気を付けたらよいでしょうか。
まず、弁護士法に違反するような行動をすることがわかれば、コンプライアンス上の観点から対応しないという意思を示すことが考えられます。対応するかどうかを判断する基準は、単に「退職を会社に伝える」だけなのか、それ以上に会社と条件面の交渉などを行っているかになります。
従業員が退職する際には、退職金、有給休暇、未払残業代、パワハラセクハラなど法律的な論点を含む可能性があります。これらの点に関する交渉を退職代行業者が行っている場合、非弁行為(弁護士法違反)にあたることがありますから、やり取りについて記録を残すなどして問題になった場合の証拠づくりをしておくことが大切です。
万一、今回の「モームリ」のように警察による摘発や裁判対象になった場合、警察から会社に連絡が来る可能性もあります。警察に対しては積極的に協力を行い、違法行為に巻き込まれないようしっかり証拠を固めましょう。
退職というのは別れですから、会社にとっても従業員にとってもストレスを感じるものです。そのため、従業員がストレスを回避するために退職代行を利用するケースが増えていると思われます。退職届を出して退職日が来れば退職になり、後は手続だけと思うのはメンタルが強い経営者や上司だけです。それに耐えられないから退職代行が流行しているのですが、よく考えると退職にもいろいろ法的な問題が潜んでいることが明らかになってきました。
退職時に生じ得る様々な問題への対応シミュレーションを予め行い、問題が重大化しないよう予め体制を整えておくことが大切です。
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