すぐやる、必ずやる、出来るまでやるは終わった?
急成長を続けていたニデックが不正経理で揺れています。
同社は、すぐやる、必ずやる、出来るまでやるというフレーズで有名でした。
過度なノルマの問題点について考えてみましょう
大手精密機器メーカー・ニデック社で不正経理が明らかになったと報道されており、株価は大幅に急落し、第三者委員会の調査が入ったため業績の見通しも明らかでないなど大揺れとなっています。
ニデック社は、「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」のスローガンの下、創業者が一代で急成長させた会社ですが、それだけに創業者の影響力が非常に強く、これまでも後継者としてスカウトされた社長が短期間で退社することが繰り返されていました。期待に応えられる後継者がなかなか現れないことは、大手企業でも中小企業でも共通の悩みであることを感じさせられます。
今回の不正経理も、業績への強いプレッシャーという企業文化が影響していることは否定できず、企業文化と内部統制について改めて考える必要があります。内部統制が崩れると結果的には今回のように高いつけを払うことになり、最終的には会社の存続に影響しかねない大問題に発展してしまうことを忘れてはなりません。
“強い業績プレッシャー”は、場合によっては社員に過剰なノルマを課すこととなり、ノルマを達成するために架空売上などに繋がりかねません。
そもそも、会社が高い目標を掲げること自体は競争力維持のために必要ですし、どこの会社でもやっていることでしょう。しかし、達成が明らかに困難な数値目標がいつもいつも設定される場合、社員が心理的に追い詰められ、不正に手を染めるリスクが一気に高まります。
経営学では「不正のトライアングル」として
- 動機(プレッシャー)
- 機会(統制の緩さ)
- 正当化(やむを得ないという心理)
が揃うと不正が起こりやすいと説明されます。過大なノルマはこのうち「動機」を強力に生み出し、組織文化が成果ばかり追い求めていると、社員は「会社のため」「自分の評価を守るため」と正当化しやすくなります。
今回のような不正経理は、個人の問題というより、組織が不正を誘発する環境を形成していた可能性を強く感じさせるもので経営者は十分な注意が必要です。
不正会計が行われた場合、会社は以下の重大な法的リスクを負います。
- 上場企業であれば金融商品取引法違反で損害賠償請求の対象となり得ます。
- 取締役は内部統制の整備・運用について善管注意義務を負うため、不正会計の発生は責任追及につながります。
- 過大ノルマが原因で社員がうつ等の精神疾患になった場合、労災認定や損害賠償請求につながる可能性があります。
- 対金融機関では取引の停止など中小企業にとって致命的な影響が生じるケースも考えられます。
一度失われれた信頼は回復までに長い時間が必要であり、社会的信用を失うことは経済的損失を上回る深刻さを持つこともあります。
不正経理などの問題を防止するためには以下のようなことが考えられます。
- 目標設定の適正化
現場の実情を踏まえ、達成可能性を検証したうえで数値目標を設定することが不可欠です。 - 「成果のみ評価」から「プロセス評価」への転換
不正をしてでも数字を合わせた人が評価される仕組みでは不正はなくなりません。 - 内部通報制度の実効性確保
匿名性の担保、通報者の保護、経営トップが関与する体制強化が重要です。 - 経営層のガバナンス意識確保
プレッシャーのかけ方一つで組織風土が変わることを経営層自身が理解する必要があります。
ニデックのような大手で起こることは、中小企業ではもっと起こりがちです。不正に拠らず、強い会社を作っていきましょう。
以上





