メルマガ Mail magazine

みんなで大家さんを1000人以上が訴えた!

 みんなで大家さんという不動産投資商品の運営会社が集団訴訟を受けました。
訴えたのは1100人以上の投資家で、114億円の返還を求めています。
一体これからどうなっていくのでしょうか。

 1100人が114億円の返還を求めて裁判を起こしました。こんなびっくりする見出しがYahooニュースに載ったのは、「みんなで大家さん」という不動産投資商品に関するトラブルです。

 商品の内容は、投資家から集めた資金を基に、運営会社が不動産を取得・運用し、賃料収入などを分配するという仕組みです。それ自体はシンプルなスキームですね。実際には、多くの投資家が約束された配当はもらえないどころか出資金を回収できず、これまでもお金を返せと求める投資家からの訴訟が相次いでいました。また、金融商品取引法上の規制に違反しているとして行政処分も行われています。金融庁は、出資スキームが「集団投資スキーム」に該当する可能性を指摘し、金融商品取引法違反の疑いで行政対応を行いました。

 この問題の根底には、「出資」と「投資」の違い、そしてそれらを規制する法体系への理解不足があります。たとえば、出資金の運用が投資家自身ではなく事業者に一任されている場合、その仕組みは「金融商品取引法」の規制対象となり、適切な登録・開示義務が生じます。にもかかわらず、事業者がこれを「不動産の共同所有」などと説明して法的枠組みを回避した場合、投資家は本来受けるべき保護を失うことになります。

 また、投資家側も「高利回り」や「安定収益」という言葉に安心し、契約内容や事業の実態を十分に検証せずに出資してしまう傾向があります。今回の件では、投資家の多くが高齢者であり、「老後資金の運用」として勧誘されていたという点も社会的に深刻です。
法的には、民事的な返還請求や不法行為責任の追及が考えられますが、資金の流用や損失が大きい場合、実際に回収できる可能性は高くありません。刑事責任の有無も注目されていますが、現時点では詐欺罪の立証に至るかは不透明です。
特に本件は、原野のような不動産を事業用地に開発すると言う計画なので、もともとすごく不確実なものでしたが、多くの投資家は誘い文句である高利回り、高配当につられて、リスクに気が付いていなかったものと思われます。
本件から私たちが学ぶべきは、「法のグレーゾーン」ともいうべき高利回りの投資話には必ずリスクが潜んでいるということです。契約書の文言がどれほど整っていても、実質的に資金を預け、事業者の判断に委ねている以上、金融商品取引法の保護が必要になります。投資の前には、必ず登録事業者かどうか、金融庁のサイトで確認し、不明点があれば専門家に相談することが肝要です。

 こうしたトラブルの多くは、冷静に考えれば「法律以前の段階」で防げたはずのものです。契約の前に一度立ち止まり、「自分は何にお金を出しているのか」を冷静に見極めることが大切です。

以上

関連記事


Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/users/2/n-akashi2012/web/cms/wp-content/plugins/shinwalaw-custom/template-functions.php on line 371
2023.10.23

戸籍に氏名の振り仮名が記載されることになりました。

 人生の中で自分の戸籍謄本を見る機会はそれほど多くはありませんが、どんなことが書いてあるか、ご記憶にありますか。…

2017.09.04

時代の変化と新しいビジネス~インスタグラムも始めてみた

親和法律事務所のFacebookをご覧になったことはありますか?情報の伝え方が大事になってきた昨今。弊所でもいろ…

2021.04.12

秘密、秘密、秘密

秘密保持契約は、いろいろな契約の中で最も多いものです。契約の内容も、情報の出し手か受け手かを意識して決める必要が…

PAGE TOP

COPYRIGHT © SHINWA LAW OFFICE ALL RIGHTS RESERVED.