SNSで悪口を言われたら
SNSで悪口を書かれるのはとても嫌なものです。
これまで、相手の特定等が大変で責任追及をあきらめることもありました。
法律が変わって、責任追及がしやすくなります。
インスタグラム、Facebook、TwitterにClubhouseなど、SNSと呼ばれるインターネット上の表現方法はどんどん増えています。
トランプ前米国大統領にみるように、他人の悪口を言ったり、名誉を傷つけるようなことをする人も後を絶ちません。インターネット上では、相手の顔が見えないことや、発信側の匿名性により、攻撃的行動がエスカレートしがちです。絶対安全地帯から無防備な相手を攻撃するようなものですから、一度火が付くと止まらなくなることがよくあります。
昨年は日本でも自殺者が出るなど、インターネット上の表現について議論が起こりましたが、実際に不適切な表現を問題にしようとしても、なかなか手続きが大変で諦めることがほとんどでした。
先日、誹謗中傷等への対応を容易にするべく、プロバイダー責任制限法の改正案が閣議決定され、国会に提出されました。
主な内容は、これまで、誹謗中傷した者(ほとんど匿名で住所もわからない)を特定するために、SNSを運営する事業者とNTTに代表される通信事業者に2回に渡って裁判をしなくてはならず1年以上の期間もかかっていたのを、一回の手続で簡単にできるようにすることです。1回で済めば、弁護士費用も安くなりますし、期間もかなり短縮され数カ月程度にまでなると思われます。
また、開示までの間に情報が消えてしまうのを防ぐための命令も裁判所が出すことができますし、必要に応じてログイン情報も開示を求めることができます。
さらに、開示請求を受けた事業者が発信者(誹謗中傷した者)に開示してよいか確認する際には、開示しない場合はその理由を明らかにするよう求めることもできます。
以上のような改正がなされることで、今後、インターネット上で誹謗中傷を受けた人が、名誉などの権利を回復するための武器を得ることとなり、最終的には一定の抑止効果が発生して、誹謗中傷が減少することが期待されます。
もっとも、今回の改正は、ようやく誹謗中傷した者に辿り着くまでのところが改正されたに過ぎませんし、依然として弁護士等専門家が入らないと、個人で手続を使いこなすことは難しいと思われます。
今後は、よりスムーズに開示が認められ、誹謗中傷を行った相手方に対する請求も速やかに行えることが、課題と考えられます。
インターネット上の表現は、相手の顔が見えないことも有り、ついつい過激になりがちですが、節度をもって投稿等を行いましょう。