民法改正により瑕疵担保責任が変わりました
本年4月1日に改正民法が施行されました。今回は瑕疵担保責任についてお話します。
売買契約において、その目的物に欠陥があった場合、旧民法では、その目的物が特定物かどうか、不特定物であれば特定されているかどうかによって、売主の責任が異なりました。特定物(又は不特定物が特定された場合)は瑕疵担保責任、不特定物の場合は債務不履行責任として、それぞれ売主の責任が認められるための要件や責任の内容が異なりました。
しかし、目的物の種類を問わず、目的物に欠陥があった場合に買主がどのような救済を受けることができるのかについて、もっと分かりやすくすべきであるとして、改正民法では大きく内容が改正されました。
まず、特定物か不特定物かを区別することなく、売主は売買契約の内容に適合した目的物を引き渡す義務を負い、修補等の履行の追完をすることができます。
次に、損害賠償や解除は、債務不履行の一般原則に従ってすることができるとされ、損害賠償の範囲は「信頼利益」に限られず「履行利益」まで可能とされました。
そして、商品に欠陥がある場合に代金の減額で処理される事案も多いことから、買主に代金減額請求が認められました。
旧民法下における瑕疵担保責任で求められていた「隠れた」つまり瑕疵についての買主の善意無過失の要件も不要とされました。
改正民法においては、「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」(改正法562条1項)と表現を改め、買主は、売主に対して、①修補や代替物引渡しなどの履行の追完請求、②損害賠償請求、③契約の解除、④代金減額請求をできることが明記されました。このうち、②損害賠償を除いて、売主の帰責性は要件とされていません。
ただし,注意すべきは、買主は契約に適合しないことを知ってから1年以内にその旨を売主に「通知」しないといけない点です(改正民法566条)。
売買契約でも、旧法が適用されるもの、改正法が適用されるものが混在する状況になってきます。事後的に商品の欠陥が問題となる場面だけでなく、事前に契約書を作成する場面においても、リーガルアドバイスを受けられることをおすすめいたします。弊所においても随時ご相談を承っておりますので、どうぞお気軽にご相談いただきたく存じます。