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「破産者マップ」の衝撃

報道でご存じの方も多いかもしれませんが、今月半ばに、「破産者マップ」が話題となりました。

「破産者マップ」は、破産者の氏名や住所をGoogleマップ上に表示したものです。

3月中旬ころ、消費者保護に取り組む弁護士のグループや、倒産処理に関する情報交換を行う弁護士のグループ内で、「破産者マップ」の存在が取り上げられ、これは大問題ではないかと指摘が相次ぎました。

破産者の氏名や住所という、プライバシーや名誉にかかわる情報が、誰でも、手軽に閲覧できる状態で公開されているのです。

破産者の情報は、「官報」に掲載されており、「破産者マップ」は、「官報」の情報をもとに作成されたものだということでした。
しかし、限られた人しか読まない「官報」に掲載されるのと、インターネット上で公開されるのとでは、全く異なるでしょう。
しかも、「破産者マップ」には、何年も前の破産の情報が掲載されていたようです。

破産に対して、勤勉な人ほどネガティブなイメージを抱きがちですが、一度経済的に破綻した人の再スタートを可能にする、大切な制度です。
「官報」なんてほとんど見る人もいないし、破産したことを知られる心配はないですよ、と制度利用を勧めてきたのに、「破産者マップ」で破産を躊躇する人がまた増えかねない、と危惧する声が弁護士からは相次ぎました。 

現在、「破産者マップ」は閉鎖されているようで、ひとまず、再スタートを阻む懸念は解消されました。
しかし、IT技術によって、誰でも膨大な情報を手に入れ、それを発信することが簡単な現代では、また別の形で同様の問題が起こっても不思議ではありません。
誰もが経済的な破綻を理由に人生を奪われることなく、再スタートの機会を得られる社会であってほしいと思います。

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