ピエール瀧にみる不祥事のリスク
俳優や歌手として活躍するピエール瀧氏が、コカインの使用で逮捕されました。
従業員の不祥事も会社のリスクです。
従業員の人柄や私生活の安定に配慮しましょう。
ピエール瀧氏が、コカインの使用で逮捕されました。
出演作品が非常に多いのですが、大河ドラマとかは出演部分を差し替え、音楽関係は配信停止など、活躍していただけに非常に影響が大きくなっています。
自粛についてはやりすぎではないかと言った議論もありますが、個人としての行動にも社会の見る目が厳しくなっているという現実は、しっかりと認識しておく必要があります。
私たちの会社でも、従業員が私生活でトラブルを起こして逮捕・勾留される場合があります。
逮捕から勾留まで進むと22日程度身柄を拘束されますので、会社の活動に対する影響は大変大きくなってきます。
よくあるトラブルが、飲酒をしたうえでの痴漢や喧嘩、器物損壊、交通事故などです。
弁護士に対して何とか早く出してもらいたいという駆け込み相談がよくありますが、犯罪の疑いがある以上、捜査のために何日間か身柄拘束されることは、日本の法律では避けられません。
従業員が不祥事を行った場合、会社はすぐに解雇することができるでしょうか。
答えは、NOです。
まず、就業規則に、問題行動に関する罰則規定が必要です。
職場は従業員の生活の基盤ですから、ルールもなく罰を与えることは、労働者の生活保護という観点から認められません。
また、やったことに対して、罰則があまりに重すぎると、それも無効とされる場合があります。
解雇となると職場における死刑宣告のようなものです。
業務と直接関係ない私生活の問題で、何でも解雇できるとすると、駐車禁止違反でも死刑になりかねませんので、認められないということはお分かりいただけると思います。
したがって、行動と処分の間にバランスがとれていることが必要なのですが、処分の重さについて、注意、減給、解雇のどれが適当か判断が難しいということもあるかと思います。
その場合には、弁護士に処分の適切さを確認してもらえるとよいでしょう。
弁護士は日頃の労務相談で、解雇などの案件を取り扱っていますし、解雇を巡るたくさんの裁判例を研究したりしているからです。
ピエール瀧氏は、会社員と言うより自営業者に近いのですが、会社によっては、営業のエースなどが逮捕されたりすると、ピエール瀧氏と同じで会社の利益が減少してしまうことがあるでしょう。
その場合に損害賠償できるかということについては、ハードルが高いのですが、事案に即して弁護士にご相談いただくのが良いかと考えます。
一番は、従業員が問題を起こさないことなので、会社は従業員に目配り気配りを欠かさないようにしないといけませんね。