電子マネーでの給与支払いは認められるのか
少し前ですが、国家戦略特区諮問会議が電子マネーによる給与の支払いを解禁する方針を決めた、というニュースが報道されました。
つまりは、現在の法律では、電子マネーによる給与の支払いは認められていないのです。
給与の支払方法には、どのようなルールがあるのでしょうか。
今の社会では、給与は銀行口座に振り込まれる、というのが「常識」かもしれません。
しかし、これは法律では例外なのです。
労働基準法では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定めています。
「通貨払いの原則」といって、現金手渡しが大原則なのです。
そして、例外として、本人の同意を得た場合には、銀行口座に振り込んでよい、と厚生労働省令で定められているのです。
「通貨」というのは、日本の硬貨と日本銀行券なので、米ドルも、電子マネーも、はやりの仮想通貨も認められません。
賃金の支払いについては、上記の「通貨払いの原則」のほかに、
「直接払いの原則」
「全額払いの原則」
「毎月1回以上支払の原則」
「一定期日払いの原則」
があります。
いずれも、賃金が労働者の生活を支えるものであることから、使用者が守るべきルールとされているのです。
しかし、時代とともにキャッシュレス化が進もうとしている(政府が推し進めようとしている)中、「通貨払い」に関しては今後見直しが進むことになりそうですね。