景気悪化と非正規社員の解雇
シャープの三重工場で派遣社員が大量に解雇されました。
景気の悪化で解雇も増えてくると思います。
トラブルを防ぐ体制を整えましょう。
シャープの三重工場で下請から派遣されていたフィリピン人ら93名が業績悪化を理由に解雇されました。故郷から出稼ぎに来ていた人たちは途方に暮れていることと思います。同様に、ベトナム人労働者に対する解雇も進んでいるようで、不動産賃貸業界ではベトナム人に対する賃貸物件の審査が厳しくなっていると聞きます。
日本では、正社員の終身雇用制度が存在するため、解雇が非常に難しく、このため契約社員や派遣社員の制度で雇用が調整されています。実際、景気が後退局面に入ると必ず派遣社員切りが行われるのは繰り返し報道されてきたとおりです。
では、契約社員や派遣社員は、いつでも解雇することができる便利な存在なのでしょうか。
会社側からすると、いつでも解雇できるというのが利点の一つであることは間違いないのですが、他方で、実態として解雇を行わずに繰り返し期間を更新して働かせることで、実際には正社員と同じような状態になっていることもしばしばみられます。派遣社員で法律改正により、一定の期間以上派遣社員を受け入れる場合は、3年を基準に正社員として雇用するか派遣契約を終了するか迫られる労働者派遣法の改正が行われたことはご存じのとおりです。
とすると、契約社員も3年も雇っていたら正社員にするべきではないかという議論が当然考えられるところですね。実際、契約社員との雇用契約をめぐる「雇止め」においては裁判などのトラブルもしばしばみられます。
まずは、契約社員との契約においては、必ず書面により、更新の有無について明らかにするとともに、更新を行う場合の条件、例えば業務量、勤務成績、勤務態度等などを具体的に記載しておくことが望まれます。
また、契約を3回以上更新したり、1年以上の契約の場合は、30日前までに契約更新しない旨を通知しておく必要があります。通知は、いつ伝えたかがわかるように書面で行いましょう。そして、労働者側から理由を聞かれた場合は、具体的に回答する必要があるので、予め考えておくことが必要です。 実際に雇止めをめぐっては多数の裁判例がありますので、会社側は慎重な姿勢で臨むことが望まれます。