同一労働・同一賃金
10月半ば、無期契約労働者と有期契約労働者との待遇差について、最高裁が立て続けに重要な判断を下しました。
最高裁で争われたのは、無期契約労働者と有期契約労働者との待遇差が、労働契約法20条(現在はパート・有期法8条)にいう不合理と認められるものにあたるか、ということです。労働契約法20条は、労働条件の相違が、労働者の業務の内容および当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない、としていました。
報道等でご存知の方もいらっしゃることと思いますが、結論は次のようになりました。
- 有期契約労働者に夏期・冬期休暇を付与しない→不合理
- 私傷病の病気休暇を無期契約労働者は有給とし、有期契約労働者は無給とする→不合理
- 有期契約労働者に年末年始勤務手当、年始期間の勤務に対する祝日給、扶養手当を支給しない→不合理
- 有期契約労働者に退職金を支給しない→不合理とはいえない
- 有期契約労働者に賞与を支給しない→不合理とはいえない
ふむふむ、なるほど、うちのパートにボーナス出さなくても大丈夫なんだな、と安心したくなりますが、話はそれほど単純ではありません。上に紹介したとおり、不合理かどうかを判断するにあたって考慮すべき事情は、
① 業務の内容
② ①に伴う責任の程度
③ ①②の変更の範囲
④ 配置の変更の範囲
⑤ その他の事情
とあるのです。これらの事情は、会社によって異なるでしょうから、同じ「賞与の不支給」であっても、会社が違えば「不合理」となることもありえます。
正社員か契約社員かで、待遇が違って当たり前、という感覚は根強いものがあると思いますが、その違いが「不合理」なものでないかは、じっくりと検討する必要があります。 パート・有期法が中小企業にも施行されるのは来年4月で、あと半年を切っています。施行後は、正社員との待遇差の理由について、短時間・有期契約労働者から求められた場合に説明すべき義務が課せられますので、今一度待遇差について確認・検討しておきましょう。