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障害者雇用。官公庁や大企業だけのことだと思っていませんか?

平成30年8月に中央省庁等による障害者雇用の水増し問題が発覚しましたが、民間企業にも「障害者雇用義務」があることを知っていますか。

制度を知らないと、突然多額の納付金の納付を求められる可能性もありますので、これを機会にぜひチェックしておいてください。

1 雇用義務制度

(1)雇用率制度

現在は、常用雇用労働者45.5人に1名の割合で障害者を雇用する義務を負います。
雇用義務制度の対象となる障害者とは、いわゆる「障害者手帳」を有している方に限ります(身体障害、知的障害、精神障害問わず)。
週の所定労働時間が30時間以上の常用雇用労働者が「障害者」1名としてカウントされます(障害の程度によってカウント方法が変わることもあります)ので、一度会社規模と雇用数を確認してみてください。

(2)納付金制度

上記雇用率を達成していない事業主は、不足1名につき月額5万円の納付金が徴収され、当該納付金が雇用率達成事業主に支給されます。
負担能力に鑑みて、現在、常用雇用労働者数100人以下の事業主には納付金支払い義務が免除されています。
しかし、将来的には常用雇用労働者数50名以上に適用を拡大するべきではないかとの議論もされているようですし、雇用率が著しく低い場合には、事業主名の公表も予定されていますので100名以下の事業主だから雇用義務を果たさないで良いと安易に考えては危険です。

2 差別禁止・合理的配慮義務

また、募集・採用から解雇・退職等に至るまでの全局面において障害者差別が禁止されています。
この差別禁止の対象となる障害者は、上記雇用義務がある障害者(障害者手帳保持者)に加え、 障害者手帳を有さない統合失調症、そううつ病、てんかん罹患者、発達症障害者、難病患者等も含まれます。
したがって、採用時に障害・疾病に関する状況を本人の同意を得ることなく取得することや、統合失調症、鬱等を理由に不採用、解雇とすることは認められません。
さらに、障害の特性に応じた合理的な配慮が求められます。(たとえば、作業手順のマニュアルの作成、発達障害者のためのサングラス・耳栓使用許可等)

まずは、障害者問題に関心を持ち、当事者の意見を聴きながら、障害者にとって不利に作用しうる会社内のルール・方針がないかを改めて確認することが必要です。

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