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スーパーで転んで怪我したら誰の責任?

スーパーで転倒した男性のけがについて、58万円の賠償が命じられました。
営業に伴う危険の管理に注意する必要があります。
今一度、リスク管理の観点から業務を見直しましょう。

東京、神奈川、千葉、埼玉の一都四県に、再び、緊急事態宣言が出されることになりました。他の府県でも、外出の自粛が要請されており、家で過ごす時間も長くなっていると思います。外食を控えることにより、自宅で食事をとることも増えますから、食材をスーパーマーケットに買いに行くことも、いつもより多くなっていることでしょう。

さて、ここで問題です。

あなたが、スーパーマーケットに行ってお惣菜を選んでいるとき、前のお客さんが床に落としたと思われるかぼちゃの天ぷらを踏んで、こけました。あなたは、右のひざを打撲し、打ちどころが悪かったのか、靱帯を損傷してしまいます。病院に通ったあなたは、スーパーマーケットに対し、床にてんぷらが落ちているとはどういうことだと言いますが、スーパーマーケットは、見舞金を支払ってくれたものの、責任を認めることはしませんでした。

上記は、現実にあった裁判を簡単にまとめたものですが、裁判所は、スーパーマーケットに対し、責任を認めて58万円を支払うよう命じたのです。

そもそも、スーパーマーケットで転んでいる人を見たことがある人はあまりいないと思うのですが、消費者庁の調べなどによると、スーパーマーケットで転んで怪我をする人は決して少なくないようです。

しかも、裁判になった件は、お年寄りではなく、当時35歳の男性だったというのです。その年齢の男性でも、転倒することがあるのだということが二番目の驚きであり、しかも、スーパーマーケットに責任が認められたのです。

考えてみると、事故が起きたのはスーパーマーケットが混み合う時間帯だったようですし、床に落ちている物にまで気を使わないといけないとすると、絶えず巡回の従業員を置かないといけないということにもなりかねません。そう考えると、いろいろな物をより安く提供しようとするスーパーマーケットにとってはコストアップにつながるものであり、裁判所の判断には、納得しにくいところもあります。

もっとも、日本の裁判所は、被害者に同情的なところもありますので、企業側としては、十分な対応と、万一の時の保険加入などの危機管理が不可欠と言えるでしょう。

日頃なかなか気が付きにくいところがありますが、事業を運営する上でのリスクについて、年も改まりましたし、一度見直してみてはいかがでしょうか。

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