有期労働契約者の無期転換対策!?
ご存知の方も多いと思いますが、有期労働契約の契約期間が通算して5年を超えることとなる労働者が、使用者に対し、現在の有期労働契約の契約期間満了日までに、期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者がその申込みを承諾したものとみなされます。
つまり、無期転換権を行使されると、有期労働契約で雇い入れた労働者が、無期労働契約の労働者となってしまうのです。
では、これを防ぐ方法はあるのでしょうか。
まず考えられるのが、無期転換権が発生する前に、雇止めをするという方法です。
しかし、これは要注意です。
労働契約法19条は、有期労働契約であっても、①過去に反復して更新されたもので、雇止めが無期労働契約における解雇と社会通念上同視できるような場合、②労働者が有期労働契約が更新されると期待する合理的な理由がある場合、には、使用者からの自由な雇止めを認めていません。雇止めが「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、有期労働契約が更新されることになります。
さらに、裁判例の中には、無期転換権の発生を回避する目的での雇止めは法の潜脱であるというような表現をしているものもあります。
では、「更新は4回までとする」というような、更新上限条項を労働契約に定めておくという方法はどうでしょうか。
この場合は、上限を超える更新の期待は発生しないと考えられますので、有効な方法といえるでしょう。もっとも、例外を設けて5回以上更新していたり、「問題がなければ更新を続ける」など更新の期待を生じさせるような言動を使用者側がしていたりすれば別です。このような場合には、更新の期待が生じていることになり、やはり雇止めの有効性は厳しく判断されることになります。
また、更新上限条項があることは、採用募集の時点から一貫して説明し、書面にも表しておくことが必要です。
この場合、有期労働契約の労働者の中に、特に優秀で長期雇用したい人が現れたら、契約を更新し続けるのではなく、むしろ早めに正社員に登用してしまうのがおすすめです。