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ビッグモーターの修理費不正について

 中古車大手のビッグモーターで修理費の不正請求が明らかになりました。
 相当以前から不正が行われていた可能性があります。
 会社として不正を行わない土壌が大切です。

 「車を売るならビッグモーター~♪」というラジオCMを毎日通勤の車内ラジオで聞いていると、次の買換えはビッグモーターに聞いてみるかという気持ちになります。中古車業界最大手の一角である同社で、車両の修理費用を水増しして保険会社に請求したり、故意に車両を傷つけたりしていた事実が明らかになっています。現場では、本部から指示のあった売上ノルマを達成するために、違法な行為に手を染めていることになり、会社ぐるみでの関与が疑われています。

 既に社長が給料の一年間返上しており、齊藤国土交通大臣が「言語道断」と述べるなど、問題は深さと広がりを見せて、底なし沼の様相を呈してきました。

 今後、既に売上計上してきた板金修理部門の保険金の返還請求を受けたり、車の所有者からクレームが来たり、道路運送車両法の関係で国土交通省から指導や処分を受ける可能性まで、ビッグモーター社始まって以来の苦しい状態が予想されます。

 原因の究明と、対策については、今後の展開を待つしかありませんが、コンプライアンスが問われる現在では、皆さんの会社で同じような問題が公になれば銀行や大手取引先は取引を中止するという対応を行うでしょう。その意味で、ビッグモーター社を他山の石として、同様のこと起こらない体制を作るのが社長の務めとなります。

 会社ぐるみと言ってよいほど大きな不正の原因は、十中八、九売上ノルマにあります。大きな勘違いですが、ノルマの達成のために不正を行う会社は後を絶ちません。ビッグモーターのケースでも、板金・修理部門の本部長からのノルマ達成の圧力が不正請求に繋がっているようです。しかし、もう一歩遡って考えると、本部長も社長から強いプレッシャーを与えられていたはずです(社長が違法行為を行うようしたわけではないと思います)。

不正問題の難しいところは、指示の伝言ゲームが続くうちに、エスカレートした指示内容が不正に繋がっていくことです。

 実際問題として難しいのは、企業である以上ノルマが避けて通れないものであるということです。人間はノルマがないと気合の入らない(怠ける)生き物ですから。経営者は、ノルマとコンプライアンスいうある意味両立し難い課題を調節する必要があります。

 一つ確かなことは、コンプライアンスに違反してしまうと、会社には回復不可能なダメージを与える可能性があり、繰り返しコンプライアンスに対する意識を高めるための方策を日ごろから取っておく必要があるということです。怖いのは、これくらいならばれないか、仕方ないやなどと思う気持ちが心に芽生えることですから、繰り返しの意識向上が大切です。

以上

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