従業員がコロナウイルスに感染したら?
コロナウイルスの勢いはとどまるところを知りません。
従業員が感染する可能性も十分考えられます。
いざという時の対応を予め考えておきましょう。
中国の武漢を震源とする新型コロナウイルス感染症は、2月1日になって日本でも指定感染症とされました。
感染者数は増加する一方であり、最早、渡航制限などによる水際での防止は不可能と言えるでしょう。
ウイルスによる感染症が広がり始めると、少なくとも半年程度は患者が増加することが多いので、夏頃までは日本の患者数は増加すると思っておいたほうが良いと考えます。
中国に行かなくても、従業員が、出張や出勤の時にコロナウイルスに感染することも十分考えられます。
予め、感染した場合の対応を考えておくことは大切ですね。
コロナウイルスに感染していることが分かった場合、都道府県知事が感染症法に基づいて就業を制限することができます。
会社としても、従業員に説明のうえ、会社に来ないように求めることができると考えます(知事の命令があれば当然できるのですが、行政の対応が後手後手なのが残念です)。
従業員が休んでいる間の給与ですが、会社に責任がないと判断されれば給与の支払義務はなくなります。
コロナウイルスに感染していることがわかれば、給与の支払義務はないと考えます。
なお、被用者保険に加入している場合は、給与の3分の2の傷病手当金が支払われますのでチェックが必要です。
次に、コロナウイルスかどうかわからないけど発熱や咳などの症状がある場合にどうするかという問題があります。
会社としては、コロナウイルスと判明していない以上、就業を制限することはできませんが、時期が時期だけによく話し合う必要があるでしょう。
従業員が自主的に休んだ場合、通常の病欠として扱うことになります。
一番問題なのは、発熱してコロナウイルスに感染しているのではと思われる従業員が出勤を希望した場合です。
この場合、出勤を認めて他の従業員に感染してしまってからでは遅いですし、そもそも他の従業員が出勤を拒否する虞もあるでしょう。
判断に悩むところですが、会社側が給料を支払って休んでもらうということも必要になるかもしれません。
この場合、会社から有給休暇を取得するようになどと強制できないことは言うまでもありません。
コロナウィルスへの対応は、以上のとおり非常に微妙です。
何より、無意味な出張や移動を避けたり、会社でマスクを支給したり、アルコール消毒の薬を準備する等、予防のために必要な措置を取ることが、会社として一番大切なことは言うまでもありません(これらは、法的な義務付けはされていませんが、従業員のためにはとても大切なことです)。