シャープの雇い止め
吉永小百合さんのCMで有名なシャープの液晶を象徴する亀山工場。
従業員2900名が雇い止めになるそうです。
期間を定めた雇用も反復継続すると契約通りの終了でも,もめることがあります。
シャープと言えば、液晶テレビで一世を風靡し、薄型テレビの王者となりました。
その象徴が三重県の亀山工場で、吉永小百合さんの出演したCMを覚えておられる方も多いでしょう。今思うと、画像の美しさでなく、吉永小百合さんの美しさで買ってしまったような気もしますが。
その後、シャープは大阪の堺市にさらに大きな工場を建てますが、これが大ゴケして倒産しかけて、結局台湾企業の傘下に入ることになったのはご存知の通りです。
亀山工場の方は、iPhoneの液晶パネルの製造などで現在まで稼働しているのですが、どうやらiPhoneの受注が減ってきたり、製造部門は台湾に移管したりいろいろな事情があるようで、とうとう人が余るようになったようです。
製造部門の移り変わりは、かつてと違ってスピード感があり、少し前まで地元の雇用に貢献していたのに、あっという間に従業員がいなくなってゴーストタウン化したりしていますね。
亀山工場では、外国人労働者を中心に、契約期間を区切った有期契約の従業員が多数います。
ただし、契約期間を短くして社会保険料の支払いを免れたりしながら、下請会社の在籍を転々とするなど、現場にはいろいろと問題があったようです。
正社員を雇うと、解雇が難しい、社会保険料の負担が重いなど企業側にいろいろとプレッシャーがかかることが多いので、非正規で雇用したいというインセンティブがどうしても働くのですが、雇用問題で裁判になると、裁判所だけは、脱法的な契約に対し、厳しい目で臨みます。
雇用契約書に何が書いてあるかよりも、実態としてどうなっているかを重視するのです。
今回のシャープの雇い止めも、契約書通りであるという主張をしても、報道のように下請会社を転々としているようなら、実態として長期間働いており一方的な雇い止めが認められない可能性もあると思います。
これから労働組合が交渉に入るようですが、今後の成り行きが注目されるところです。
みなさんの会社でも、契約書をこうすればいいんじゃないかとか、小手先のテクニックで雇用における負担を逃れようとするのではなく、実質を重視して、どのように従業員の配置や人件費の問題を考えて事業を成り立たせるのか、逃げることなく正面から検討して頂ければと思います。