JAL、ANAパイロットの飲酒に見る危機管理
JALやANAで、パイロットの飲酒が問題になっています。
安全第一の航空会社でのパイロットの飲酒に会社はどう対応すべきでしょうか。
チェック体制の確立と理念の徹底を図りましょう。
JAL、ANAで相次いでパイロットの飲酒問題がニュースとなっています。
今のところ操縦まで行った報告はされていませんが、運航の遅延が発生しています。万一事故でも発生したら大変なことになるだけに、気になるところです。
そもそも、航空会社のパイロットは、多くの人命を預かり空を飛ぶという極めて緊張した業務を担当しており、そのストレスも大変なものがあります。
そのうえ、航空会社や便数の増加により、パイロット不足は世界的に深刻化しており、業務の負担も増しているであろうことは間違いありません。乗務の間にアルコールを摂取したくなりたくなる気持ちはわかりますが、だからと言って、次の仕事に差し支えるようでは、乗客も安心して飛行機に乗ることはできません。
各航空会社では、アルコール検知器などを使ってチェック体制を整えており、今のところ直接的に事故につながっている例はありません。
しかし、操縦士と副操縦士が結託して、検査をやったことにして、検査回避を図ることも考えられます。
この点、事業会社はあらゆる場面で従業員のミスや不正をなくすための体制を整えていますが、チェックシステム自体が不備であったり、悪意の人間には簡単に仕組みを突破されてしまうようなレベルの体制だと、重大事故の発生にもつながりかねません。
チェック体制については、当事者だけでなく、定期的に第三者の目が入るようにすること、アルコール検知のように機械による自動処理になじむようにすることなどが必要になります。
また、中小企業では難しい面もありますが、ジョブローテーションと定期的に行うことも大切です。悪意をもって会社に損害を与える従業員とは、まるで知恵比べのような面もあります。
しかし、過去の例を見てもわかるように、ほとんどのケースは従業員が会社に内緒で資料を持ち出したり、印鑑を押したりしています。
企業の対策はどうしても後手に回ってしまいがちです。
そこで、もう一つ大切なことは、会社の理念や目的を、調整等を通じて徹底することです。
先にあげた航空会社の例でいうと、安全に上極を目的地に届けるというミッションを意識していれば、前日飲み過ぎて乗務に支障が生じるという事態は、自ずと避けられたはずです。 皆さんの会社でも、不正を発生させないために理念や目的を活用しましょう。