メルマガ Mail magazine

ついに共同親権導入となるか!?

 去る1月31日、離婚後の共同親権を認める民法改正法案が今国会に提出されるとのニュースが流れました。

 日本では、離婚すれば、親権者は父又は母のどちらかとなるため(単独親権)、父母間で熾烈な親権争いが繰り広げられることも少なくありませんでした。

 令和2年に法務省がG20を含む海外主要24カ国を調査した結果では、印とトルコを除く、多くの国で共同親権が認められています。共同親権を認めている国の中では、①裁判所の判断等がない限り原則として共同親権とする国(伊、豪、独、フィリピン、仏等)、②父母の協議により単独親権とすることもできるとする国(加ブリティッシュコロンビア州、スペイン等)、③共同で親権を行使することはまれであるとされる国(インドネシア)の例があります。

 離婚問題を扱う弁護士からすれば、母側であれば親権を得られるので安堵する一方、父側であれば親権を得られず子と離れてしまうという辛い状況になり、同じ親なのに、父であるか母であるかによって、子とのかかわりが全く変わっていってしまう厳しい現実に納得できないことが多々ありました。

 今回の民法改正法案では、父母(親権者に限らない)の責務等が明確化され、父母は子の利益のため互いに人格を尊重し協力しなければならないと対立しあう父母に言い聞かせるかのような文言もあります。

 冒頭で触れた共同親権については、離婚時にまずは父母が単独親権か共同親権かを協議します。協議が整わないときには、家庭裁判所が判断します。裁判所は、子の利益のため、父母と子の関係、父と母の関係その他一切の事情を考慮することとなります。父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがある場合や暴力等を受けるおそれがある場合には、単独親権となります。

 共同親権を定める場合には、必ずしも、父又は母の一方を子の監護者と定める必要はなく、子の監護の分掌など必要な事項が定められることとなります。分掌となると、欧米のように子が週ごとに父母それぞれと過ごす等、これまで日本では考えられなかった離婚後の親子のかかわりができるかもしれません。

 子にとっては、父も母も重要な存在です。離婚をしても、父として、母として、子のためにどうしていくか、別れた相手を(最低限のレベルでもいいので)尊重して考えることができれば、最終的には、子にとっても自分にとっても良い結果になるのではないでしょうか。父にしかできないこと、母にしかできないこともあるかもしれません。お互いが補完しあうように、子のために積極的に話し合い、作り上げていくことができれば、子も双方の愛情をたくさん感じ、離婚について理解し、新たな家族の形を受け入れやすくなるかもしれません。

 改正法案では、養育費、情報開示、親子交流、親以外の第三者と子との交流など、注目すべき点がありますので、またお話しできればと思います。

以上

関連記事

PAGE TOP

COPYRIGHT © SHINWA LAW OFFICE ALL RIGHTS RESERVED.