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神戸大学の学生が旅館で暴れたら

 神戸大学の学生(非公認サークル)が旅館で暴れたことが問題になっています。
 SNSで拡散したことで大学側も苦慮しています。
 皆さんの会社で社員が暴れたらどう対応しますか?

 神戸大学の学生が、大学非公認のサークルの旅行で、旅館の壁を壊すなどの大暴れをしたことがSNS上で拡散し、炎上しています。皆さんの会社の社員が旅行で問題を起こした場合に共通する面もありますから、今回は学生の行動のどんな点が問題だったのかについてお話しします。

 事件が起こったのは、神戸大学の学生が所属するバドミントンサークルの旅行です。大学非公認のサークルながら、60名余りの団体で宿泊した旅館で、天井に穴を開ける、障子を破るなど建造物損壊、器物損壊、威力業務妨害など刑事罰の対象になるような行為がいくつもみられ、若気の至りでは済まされないレベルの問題行動が多々見られました。しかも当時の様子を撮影した動画が拡散されたため、旅館と学生という当事者の問題のみならず、学生が所属する神戸大学にまで影響が広がっています。

 若干設定が違うのですが、皆さんの会社で、社員が集まって旅行に行って同様の事態が生じたと思ってください。みなさんの会社名も明らかになり、ネット上で炎上しているとしましょう。

 まず、社員に対しては、私的な旅行でのこととは言え、社員としてあるまじき行動であり、就業規則に基づいて懲戒処分を行うことが考えられます。この場合、行為の程度や結果の重大性により、処分の程度が変わってきますので、外部専門家にも意見をもらうようにしましょう。よくあるのが行為と処分のバランスが悪く、社員側から処分が重すぎるとして裁判を起こされる例です。本件では、旅行が公式行事ではないという点についても考慮する必要があるでしょう。

次に、対旅館に対してはどうでしょうか。こちらは、私的な旅行である限り、会社側が損害賠償等の責任を負うことは原則としてありません。あくまで大人が個人の判断で旅行している以上、旅館に対して義務が発生する余地はないと考えられるからです。

 最後に、対世間に対して、会社はどのように対応すべきでしょうか。神戸大学の場合、学生は成人年齢に達しているとしても、まだまだ精神的に未熟な面もあり、放置しておくことはできません。したがって、何らかの対応が求められることになります。これに対し、皆さんの会社では、社員は社会人として一人前ですし、旅行先での問題点まで一々言われていてはキリがありません。それでも、社員が何人か集まっている場合、会社としての批判を受ける場合があるでしょう。このような場合は、一歩間違えると大炎上してしまいますので、外部専門家とも協働しながら、慎重に対応する必要がありますね。

以上

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