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私の給料はいくらが適正?新入社員と嘱託社員に見る賃金設定

 人手不足から新入社員の給料が上がっています。
 他方で、定年後再雇用となる場合の給与は定年前よりかなり下がります。
 適正な給与水準は法的にはどう考えればよいのでしょうか

 少子高齢化に伴って新入社員となる世代はどんどん減り、他方でバブル世代に大量採用された人たちが続々退職となるなど、企業にとって人手不足は死活問題になっています。伝統的な終身雇用制度では、新入社員の頃は給料は安くて、年々賃金が上がっていきました。しかし、人手不足となり各社が新人を取り合うとそんなこと言っていられないので、新入社員の給料は最近すごく上がる傾向にあります。そこで問題になるのは先輩社員との関係で、新入社員とのバランス上先輩社員も給料をあげないといけないのですが、大企業ならともかく、中小企業にはなかなか荷の重い仕事になります。

 本来、給料は、就業規則に基づく賃金規定によって定められるべきものであり、どのようにでも決められるものではありません。仮に新入社員と先輩社員の給料が逆転してしまうようなことがあれば、先輩社員が会社に怒って訴えてくるかもわかりません(今のところそういうケースはないようです)。実際、全員の給料をベースアップするのに負担が重い企業は、社会保険の額が減るような手続をしてみたり、いろんな手を用いて合法的にキャッシュアウトを少なくしています。

 他方で続々と定年を迎える人たちも、技能を有している人には働いてもらいたい、使えないスタッフならやめてもらいたいとはっきりわかれてきますね。

 問題は再雇用の際の給与水準ですが、数多くの裁判例があり、定年前の6~7割程度の基本給とすることが認められつつあります。また、最近では技能を有する人に対しては、定年前と同程度の処遇をする場合も増えてきました。今後、職務内容に応じて処遇を決めるということが主流になっていくことは間違いありません。とすると、同一内容同一賃金に向けて、裁判所の判断も厳しくなっていくと思います。正社員以外のパート、アルバイト、有期契約の人たちも正社員と同様に取り扱う方向で改善を重ねて行ってもらうべき時代になっていることを、社長さんに呼び掛けたいと思います。その場合大切なことは、中途半端な制度を作って突っ込まれたりしないよう、顧問の社会保険労務士や弁護士などにいつでも相談できるようにするってことですね。
 相談を忘れて隙のある制度なら作らない方がましといわれかねませんのでご注意ください。  

以上

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