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有罪になったトランプ元大統領が部下だったら?

 社員が刑事事件の被告人となり、有罪判決を受けることがあります。
業務と直接関係ない場合、懲戒解雇はできるでしょうか。
就業規則を見直し、後日のトラブルを避けましょう

 今年のアメリカ大統領選挙に共和党から立候補予定のドナルドトランプ元大統領が、ニューヨークの裁判所で有罪判決を受けました。一言で言うと不倫の口止め料を巡るものですが、トランプ氏は、早速上訴して争うことを明らかにしています。この裁判については、アメリカ独特の政治的な思惑があるため、なかなか評価が難しいのですが、トランプ支持者の層にとっては、許し難いもののようでトランプ候補者に対する多額の寄付が集まったようです。

 さて、皆さんの会社でも社員が逮捕されたり、有罪判決を受けたりする可能性があります。実際、酒に酔ってけんかしたとか、交通事故を起こしたから始まって、会社の金を横領したなど業務に関わること、痴漢や飲酒運転のように会社の評価に影響するものまでさまざまなケースがあります。実際、朝から社員が来ない、連絡がつかないと言った相談を受けていると、実は逮捕されていると家族の方から報告があることがあります(逮捕されると近親者に連絡が行く)。

 まず、逮捕されてその後も勾留が続くと、身柄が拘束されて欠勤が続くので、その時点で解雇することを検討せざるを得ません。

 さらに、最終的に裁判の結果として有罪判決がなされた場合はどうでしょう。トランプ氏の場合、特に候補者を辞退するとか言うことにはならないようですが、身柄が拘束されるようなことになると候補者を辞退せざるを得なくなるかもしれません。

 社員の場合、就業規則の懲戒事由として、会社の信用を傷つけるような行為を行ったことが記載されていると思います。したがって、有罪判決を受けるようなことをするやつはもう要らないということで辞めてもらいたいという気持ちになると思います。ただし、これまでも散々述べてきたとおり、社員を懲戒するには処分の相当性が問題になりますので、びしっと懲戒解雇することができるかどうかはとても微妙になります。つまり、会社のお金を横領するような場合は、もちろん懲戒解雇ができるケースがほとんどだと思いますが、問題になるのは、業務と直接の関連性がない場合です。この場合には、懲戒解雇が認められるかについては結構多くの裁判例があります。例えば、飲酒運転が問題になる場合は結構あるのですが、運転に関する業務をしていない場合、飲酒の量や、人身事故になっているかどうかなどの結果の重大性によって、懲戒解雇まで行くのか、それとも普通解雇で行くべきなのかなど、専門家によるアドバイスが必要な場面があるでしょう。

 これを機会に就業規則を確認しておくとよいでしょう。

以上

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