「カスタマーハラスメント」をご存知ですか?
今年6月、企業に対し「パワーハラスメントの防止措置を義務付ける法律」が成立しました。
法律の制定にあたって厚労省に設置された検討会でも議論となった「カスタマーハラスメント」をご存知でしょうか。
社会通念を逸脱した顧客からの要求行為によりクレーム担当者が精神的被害を受けることは、近時、「カスタマーハラスメント」(「カスハラ」)として問題になっています。
パワハラ防止措置義務について議論が行われた検討会でも、この「カスハラ」の問題が検討されました。
この検討の中では、クレーム担当者に深刻な被害実態が存在することも踏まえて、パワーハラスメントに類似するものとして、カスハラ対策についても法制化が必要という意見が出た一方、通常のクレームとカスハラの線引きが難しいことや、クレームは社外の第三者によるものであるため他のハラスメントと同様の措置義務を事業主に課すことは困難であるといった意見があり、結果的には今回はカスハラに関する法制化は見送られました。
ただ、カスハラによる被害実態を踏まえて、厚労省は、年内にも公表される予定のパワーハラスメント防止対策に係る指針において、カスハラに関し事業主が行うべき望ましい取り組みについて明示することとしています。
指針の内容は具体的には明らかにされていませんが、クレーム担当者からの相談対応等について構築するべき社内体制や、カスハラ被害が発生した場合に企業が取るべき対応等について示される可能性がありますので、議論の行方に注目です。