訴えてやる!その前に
相手方とのトラブルで、損賠賠償だと息巻くことは少なくありません。
相手に請求できる内容はどこまででしょうか。
契約書を確認し、弁護士など専門家への確認もしましょう。
「訴えてやる」というフレーズが、普通に使われるようになったのはいつ頃からでしょうか。テレビなどメディアの力は強力で、逆に理由もないのに訴えるぞとすごんで脅迫だと言われるケースも出ています。
さて、取引先とのトラブルで訴えてやるというときに、いったい何を訴えるのでしょうか。ここではテーマを絞って、損害賠償の話をしたいと思います。
損害賠償とは、要するに自分が損をした、あるいは儲け損ねた分を、相手に払ってもらおうというものです。訴えてやると思ったときは頭に血が上っているので、あれもこれもと考えますが、法律の世界では一方の言い分だけで結論が出るものではないことは、最初に冷静にお伝えしておかないとならないことです。
手元に契約書はあるでしょうか。もしあれば、損害賠償と言う項目のついた条項があるかどうか確認してみてください。条項が書いてある契約書がほとんどだと思います。とすると、契約書があるのに損害賠償の条項が書いてないということから請求はできないのでしょうか。いえいえ、損賠賠償しないということが明記されていなければ、民法の規定に基づいて損害賠償請求が可能です。
では、賠償が認められる損害とはどこまでなのでしょうか。
もう一度契約書を見てみましょう。損害の範囲に限度を設けている例が結構あります。なぜなら、取引に対して損害が莫大に生じる契約も世の中にあるので、取引をしないほうがいいんじゃないかってケースがあるからです。よくあるのが、限度額を設けるケースです。システム開発などではうまく動かない場合、ユーザーに恐ろしく損害が発生するのでそのような契約になっている例が多いようです。また、損害の種類で、直接、現実の損害だけにするのか、ちゃんと履行されたときにもらえたはずの利益まで損害に含めるのかなど、なかなか損害について考え始めると難しい問題がたくさんあります。もし規定がなければ、過去の裁判例などを参考に民法を解釈することになりますが、考えていくときりがありません。
最後に、弁護士費用は、基本的に損害になりません。そんなあほな、あいつのせいで弁護士頼まないとあかんのにという声が聞こえてきますが、日本の裁判所の立場は一貫して弁護士費用を損害として認めることに制限的です。 訴える前に、冷静に準備をする必要がありますね。