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契約内容を変更したい

みずほ銀行初め各銀行が、預金通帳の作成に1100円程度の手数料を徴求します。
クレジットカード会社や携帯会社も紙の明細には手数料を徴求する動きです。
契約の拘束力と変更について考えてみましょう。

 昨年初め、みずほ銀行が新規開設口座から通帳発行手数料として1100円をもらうと発表したことは、大きくニュースで取り上げられました。みずほと同じ動きは他行でもみられ、紙からデジタルへの移行は加速しています。クレジットカード会社や携帯会社も紙の明細を発行しない方向に動いています。

 ネットの苦手な高齢者などにはとても辛い展開ですが、社会の変化は加速しており、元に戻ることはないでしょう。

 さて、約束と言うのはいったんされた以上は守られる必要があり、一方的に変更するとペナルティとなるのが法律の世界の常識です。約束したけど、守らないということになると約束の意味がなくなり、法律もまた意味を失ってしまうからです。ところが、銀行、クレジットカード会社、携帯電話会社などでは、契約の内容を一方的に変更するケースが見られます。一般的にはサービス内容の変更と言いますが、利用者に負担を求めるものであることは間違いありません。一方の当事者が、多数の契約者と契約を結ぶ場合、一々契約書を作ることは現実的ではないので、約款と呼ばれる標準の契約内容が定められています。おそらく、ほとんどの利用者は読んでないと思われますが、約款による契約には法的拘束力があり、内容はシビアなものになっています。

 かつて、携帯電話会社が、請求書払いのときに手数料100円を取るという規定を追加した件が、最高裁まで争われたことがあります。結論的には、携帯電話会社の言い分が認められたのですが、多数の契約者に常に同意を取るのは大変なこと、口座振替やカード決済もできること、契約者間の衡平、WEB上での周知などが理由とされています。

 長期間の取引が予定されている契約の場合、事情の変更で何らかの内容変更を行いたくなるケースは、通常の事業でも有り得る話です(よく考えたら、結婚などもそうかもしれません)。

 このような場合、二つの方法が考えられますね。

 一つは、契約の終了により契約関係から離れてしまうことです。一般に中途解約条項と呼ばれています。しかし、中途解約条項も契約が長期にわたって継続すると、効力が裁判所により制限されたりするので注意が必要です。

 もう一つは、予め変更の可能性を契約の中に盛り込んでおくことです。ただし、どんな変更が起こり得るのか、全てを盛り込んでおくことは難しいのが難点です。具体的かつ明確でないと、法的な拘束力が認められないからです。

 いずれの場合にせよ、長期の取引については弁護士と相談して、しっかり練った契約書を作りましょう。

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