パワハラ防止措置はお済みですか?
2022年4月1日から,中小企業でもパワーハラスメント防止措置をとることが義務化されました。義務を果たすことができているか,早速チェックしてみましょう。
おととしの6月に施行された改正労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)は,職場におけるパワーハラスメント防止措置をとることを求めています。中小企業に対しては,経過措置として,当初は努力義務とされていましたが,今年4月1日から法的義務となっています。
では,具体的にどのような防止措置をとればよいのでしょうか。厚生労働省が定めた指針では,以下の10の措置を講じることが必要だとされています。
① 職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し,
労働者に周知・啓発すること
② 行為者について,厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等文書に規定し,
労働者に周知・啓発すること
③ 相談窓口をあらかじめ定め,労働者に周知すること
④ 相談窓口担当者が,相談内容や状況に応じ,適切に対応できるようにすること
⑤ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること
⑥ 速やかに被害者に対する対応のための措置を適正に行うこと
⑦ 事実関係の確認後,行為者に対する措置を適正に行うこと
⑧ 再発防止に向けた措置を講ずること(事実確認ができなかった場合も含む)
⑨ 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ,その旨労働者に
周知すること
⑩ 相談したこと等を理由として,解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め,労働者に
周知・啓発すること
いかがでしょうか。なんだか,具体的なような,そうではないような・・・「○○な措置」といわれても,では何をすればよいの?と思われるかもしれません。ここは会社の規模,業態,人員構成,ハラスメント被害の内容,その他の事情によってケースバイケースのところがありますので,「これでいいの?」と迷われたときは,まずはご相談ください。
なお,このようなパワハラ防止措置義務に違反した場合,罰則はありませんが,行政上の指導・勧告・公表の対象となります。また,パワハラ防止措置を適切に講じていることが,働きやすさや離職の防止につながります。面倒なことと後回しにせずに,この機会にあらためて,自社のパワハラ防止措置を見直してみましょう。