残業代の消滅時効
「残業代を請求されたら、過去2年分さかのぼって支払わないといけない」
という認識は、残業代請求が急増している昨今、浸透してきたように思います。
ところが、この2年が5年になるかもしれない!?のです。
労働基準法では、賃金等の消滅時効について、次のように定めています。
第百十五条
この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、
この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、
時効によつて消滅する。
「残業代を請求されたら、過去2年分さかのぼって支払わないといけない」
というのは、ここからきています。
つまり、過去2年分より前のものは、すでに時効によって消滅しているということです。
ところで、民法が改正され、短期消滅時効の制度がなくなったというお話は、メールマガジン16号でお伝えしたとおりです。
そうすると、この労働基準法に定められた時効期間は、今のままでよいのかということが議論になっているのです。
昨年末から、労働基準局に検討会が設置され、議論がはじまっています。
個人事業主が請負契約を締結したときの報酬請求権は、今回の民法改正により時効期間が5年となりました。
これとのバランスを考えると、2年というのは労働者の保護に欠けるという意見が出ても不思議ではないですね。
当然ながら、企業の側は重い負担を負うことになりますので、反対の意見が出ています。
有給休暇の繰越期間などもあわせて議論されることになっており、今後の議論の行方が注目されます。