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会社の悪いうわさが流れたらどうする?

 福島原発の処理水で、県漁連が風評被害を気にされています。
 ネット社会では情報があっという間に世界中に伝わります。

 福島第一原発の処理水は、2011年3月の東日本大震災以来、延々と保管され続けてきました。科学的に見るとトリチウム以外の放射性物質は取り除かれており、トリチウムも自然界に存在するレベル以下まで薄めれば、特段の問題はありません。
実際、稼働中の原発からも同じような処理水は排出されていますし、中国などは日本の何倍も処理水を海洋放出しています。

 それでも、10年以上に渡って最終処理がされなかったのは、専ら地元の風評被害を意識するからであったのですが、とうとう処理せざるを得ない時期になったということになります。問題の処理を先送りすることは、日本の悪いところですが、今回の件も正にその一つで、本来粛々と適切な処理を行う決断をもっと早く行うべきでした。

 私たちの会社でも、風評被害を恐れて決断できなかったり、逆に風評被害で会社の評判が下がってしまったりということが起こることがありますが、どのような姿勢で臨めばよいでしょうか。現代は、インターネットを通じてSNS上であっという間に情報が広がっていくので、会社でも対応を考えておく必要があります。

 対応の一点目は、会社のホームページ上などで、正しい情報を流せる体制を作っておくことです。そうしないといつまでも誤った情報が流れてしまいます。会社として情報を発信する際に注意すべきは、揚げ足を取られたりしないように、隙のない文章を作成することが必要であり、弁護士などの専門家に相談して文章を確認することが必要です。

 対応の二点目は、誤った情報を流している第三者を特定して情報の削除を請求することです。ネット上の情報は匿名で流されていることも多く、かつ、相手の住所もわかりませんので、削除請求についてはコツが要りますから、弁護士への依頼が必須です。また、Googleなどに直接削除請求しても、表現の自由との関係で削除まではなかなかハードルが高いことに注意する必要があります。手をこまねいている間にどんどん悪いうわさが広まるので、素早く、的確な対応が必要です。

 対応の三点目は、社内の情報管理の徹底です。原発の処理水のように外部の情報である場合はどうしようもない(正しい情報を流していく)面がありますが、多くの場合、誤った情報の出どころは、社内からであることが多いです。規定の整備や社内セミナーなどで、情報の管理をしっかりしましょう。

 以上のとおり、外部から見た会社のイメージは取引先や、従業員の採用など多方面で影響します。いったん広まった噂を打ち消すことは難しいので、日頃から意識していざという時の対策を考えておきましょう。

以上

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