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メンタルダウンの労災認定基準が変わります

 7月4日に、「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書が公表されました。
 厚労省は、この報告書を受け、速やかに精神障害の労災認定基準を改正するとしていますので、内容をチェックしておきましょう。
 労働者が精神障害(メンタルダウン)を発症したときに、労災と認定されるかどうかについては、認定基準が公表されています。
 その内容をざっくりとご説明すると,

 ① 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
 ② 精神障害の発病前おおむね6か月の間に,業務による強い心理的負荷が認められること
 ③ 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

 という3つの要件を満たすかどうかで判断します。
 そして,②の業務による強い心理的負荷が認められるかどうかについては,「業務による心理的負荷評価表」に基づき、心理的負荷の強度を「強」「中」「弱」と評価することになっています。
たとえば、「業務に関連し,重大な人身事故,重大事故を起こした」場合で,「他人に重度の病気や怪我(長期間(おおむね2か月以上)の入院を要する,又は労災の障害年金に該当する若しくは原職への復帰ができなくなる後遺障害を残すような病気やケガ)をおわせ,事後対応にもあたった」ような場合は,心理的負荷を「強」と判断する,といった具合です。

 今回の報告書では,「業務による心理的負荷評価表」について,次の見直しが提言されました。

 ・「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」を追加
   ・・・いわゆるカスタマーハラスメントを受けた場合です。昨今の事情を踏まえた追加と考えられます。
 ・「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加
   ・・・これまで評価表に入っていなかったことが不思議な気もしますが,「強」になる例として,
「新興感染症の感染の危険性が高い業務等に急遽従事することとなり,防護対策も試行錯誤しながら実施する中で,施設内における感染等の被害拡大も生じ,死の恐怖等を感じつつ業務を継続した」とあげられていることから,おそらく新型コロナ感染症の流行を受けて追加されたものと考えられます。
 ・パワーハラスメントの6類型すべての具体例,性的指向,性自認に関する精神的攻撃等を含むことを明記
   ・・・使用者にハラスメント対策が求められる中で,時流に合わせた変更と考えられます。
 ・一部の心理的負荷の強度しか具体例が示されていなかった具体的出来事について,他の強度の具体例を明記
   ・・・メンタルダウン事例が年々増える中で,労災認定の判断を迅速化する狙いがあると考えられます。
 労災認定がなされるかどうかと,使用者が訴訟で安全配慮義務違反を問われた際に精神障害の発症と因果関係が認められるかどうか,ということとは必ずしも一致しないのですが,裁判所の判断に微妙な影響を与えていると言われています。
労災認定においては,使用者がこれを争ったりすることは基本的にできないのですが,上記の意味でも,認定基準はチェックしておくべきと考えられます。

以上

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