AIが紛争を解決する!?
現在、法務省に「ODR推進検討会」が設置され、ODRについての議論が進んでいます。ODRとは、Online Dispute Resolutionの略で、オンラインでの紛争解決手続をいいます。
日本の裁判は時間もお金もかかりすぎる、というのが一般的なイメージかと思います。そのために、交渉が決裂した場合には泣き寝入りで終わってしまうケースも少なくなく、これでは公正な解決を図ることができません。
そこで、2007年に、「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」が施行され、多くの民間のADR機関が誕生することになりました。そこから10年以上経ち、IT技術やAIが飛躍的に進歩する中で、政府としても、オンラインでの紛争解決手続を推進し、更に利便性を高めて、より多くの人が公正な紛争の解決に向かえることを目指しているわけです。
すでに諸外国では、ODRの導入が進んでいます。たとえばEUではすでに5年以上前からEU域内における消費者紛争解決を目的としたODRプラットフォームが運用されています。
裁判所がいまだにFAX中心で運用されている日本は、またしても出遅れている感がありますね。
ところで、オンラインでの紛争解決手続というと、なんとなく、既存の手続をオンラインで行える(たとえば、書面をオンラインで提出する、チャットやウェブ会議を活用する)というイメージを持ちますが、ODRのゴールはこれにとどまりません。AIが先例を分析して解決水準などの情報を提供したり、交渉における合意を誘導したり、合意書案の作成を支援したり・・・
もちろん、これが今すぐに実現できるレベルにまで技術が達しているわけではありませんが、そう遠くない未来に、AIが紛争解決を全面的にサポートしてくれる時代が来るのかもしれません。