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改正会社法が本年3月1日より施行されました(後編)

正会社法(令和元年12月4日成立、同月11日公布)が本年3月1日より施行されています(ただし株主総会資料の電子提供制度の創設等については来年中に施行予定です)。どのような改正がなされたのでしょうか。今回は後編です。

前半(5月前半のメールマガジン)では、株主総会及び取締役等に関する規律についてお話しました。後半は、取締役等に関する規律の続きです。

まず、社外取締役についてです。

①上場会社等において社外取締役を置くことが義務付けられました(改正法327条の2)。我が国の資本市場が信頼される環境を整備し、上場会社等については、社外取締役による監督が保証されているというメッセージを内外に発信するためとされています。

また、②本改正では、マネジメント・バイアウトの場面や親子会社間の取引の場面など、株式会社と取締役の利益が相反する状況にあるとき、その他取締役が当該株式会社の業務を執行することにより株主の利益を損なうおそれがあるときは、当該株式会社は、その都度、取締役会の決議によって、当該株式会社の業務の執行を社外取締役に委託することができることとし、委託された業務の執行をしても社外取締役の資格を失わないとされました(改正法348条の2第3項)。本来「社外」取締役とは、当該株式会社の業務を執行した取締役ではないことが要件とされていますので、業務を執行すると取締役の資格を喪失することとなるのですが、この場合には資格を失わないとされました。

次に、会社補償及び役員等のために締結される保険契約についてです。役員等に優秀な人材を確保し且つその能力を職務執行において存分に発揮してもらうためには、適正な会社補償や保険契約は不可欠ともいえます。

そこで、①会社補償(役員等が職務執行に関して賠償責任等を負う場合に会社がその全部又は一部を補償すること)が適切に運用されるように、補償契約を締結するための手続や補償範囲等を明確にするなど、会社補償に関する規定を新たに設けました(改正法430条の2)。また、②会社役員賠償責任保険(D&O保険)が適切に運用されるように、契約の締結に必要な手続等を明確にするなど、新たに規定を設けました(改正法430条の3)。

その他に、株式交付制度の創設、社債管理補助者制度の創設、支店所在地における登記の廃止等があります。社会経済情勢の変化とともに、法律も目まぐるしく変わっていきます。常に最新の情報に触れていただければ幸いです。

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