ITとシステムダウンのリスク
インターネットと無縁な会社はもはや絶滅したに等しくなりました。
システムダウンのリスクを考慮する必要があります。
もしものときの事業継続体制を日ごろから考えておきましょう。
数日前、マイクロソフトが提供しているTeamsに不具合が生じました。全世界的に影響が出たようですが、日本の裁判所もTeamsを利用しているため大混乱に陥りました。
近年では、裁判手続も法廷に実際に出席することからTeamsを利用したWEB手続に大半が切り替わっていました。それ自体は、裁判所への往復時間の節約や、新型コロナウイルス感染症のリスク回避のために極めて有効だったのですが、Teamsのダウンにより、その日の裁判手続はほとんどできないことになってしまったのです。
一度裁判の日が延期になると、翌日以降に裁判の日を入れようと思っていても、双方の弁護士と裁判所の予定が1か月程度先まで埋まっているので、1カ月半くらい先にずれ込むことにより当事者には大変な迷惑が掛かってしまいます。
同じようなことはビジネスでも起こってくることであり、予定していたビジネスが完結できないということにもなりかねません。
このような場合、マイクロソフトに責任追及できるかと言うと、利用規約上責任追及できないことになっており、せいぜいTeamsの馬鹿野郎と愚痴を言う程度しかできない仕組みになっています。
他方でビジネスの相手方からすると、システムのダウンとかはこちらの問題ではないから、ビジネスが延期になったリスクを補填しろと言う話になりかねません。
経営者としてはリスクマネジメントとして、以下のような対応を考える必要があります。
まず、保険制度の利用です。可能性は低いけど、重要なリスクに対応する場合には、保険が有効です。事業活動を通じて生じるリスクに対しての損害保険がありますので、一度検討して頂いてよいと思います(ご相談承ります)。
次に、システムを一つしか利用できないということを避けて、2つ以上の方法を予め準備しておくことです。先日はauも不具合となり携帯電話利用者に混乱が生じましたが、冷静になるとこれまでも度々同様の事態は生じており、決してまさかの出来事ではありません。ちなみに筆者は携帯2台持ちです。
最後に、契約書上、システムダウン等によるリスクの免責を記載しておくことが考えられます。大きな問題の起こり得る取引の場合、リスク回避のために契約書を作られると思いますが、その場合にリスク回避条項が入っているのかどうかを確認する必要があります。
以上のとおり、災害時同様に事業継続マネジメント(BCM)については常に検討する必要がありますね。