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民法改正により賃貸借が変わりました(続編)

本年4月1日に改正民法が施行されました。先々月より皆様に身近な賃貸借のルールについてお話しています。今月は、第三弾として、賃貸借の保証人についてです。

改正民法では、極度額(上限額)の定めのない個人の根保証契約は無効となりました。

根保証契約とは、一定の範囲に属する不特定の債務について保証する契約をいい、子がマンションを借りる際に親がその賃料等一切の債務について保証人になる場合等がこれに該当します。

改正民法465条の2は、個人(法人でないもの)が根保証契約の保証人となる根保証契約については、保証人が責任を負う上限額、これを極度額といいますが、この極度額を定めなければ保証契約は無効となるとしました。すなわち、契約書等の書面において「100万円」「500万円」など明瞭に定めておかなければなりません。

よって、個人で根保証契約を締結される場合には、極度額がいくらなのかを確認することが重要となりますし、保証を徴求する債権者としても極度額を明瞭に記載しておかないと契約が無効となりますので、注意が必要です。

  

ところで、賃貸借や保証などの契約については、原則として、改正法施行日(令和2年4月1日)より前に締結された契約については改正前の民法が適用され、施行日以降に締結された契約については改正後の民法が適用されます。

ここで注意が必要なのが契約更新の合意をする場合です。

改正法施行日前に締結された契約であっても、その後、改正法施行日以降に合意更新がされた場合には、施行日以降に新たに契約が締結された場合と同じく、改正民法が適用されます。

よって、改正法施行日前に締結された賃貸借契約であっても、改正法施行日以降に合意更新した場合には、その賃貸借契約は改正民法の適用を受けることとなります。

その一方で、改正法施行日前に当該賃貸借契約によって負う債務の保証人になっており、かつ、保証契約自体は合意更新されていなかった場合、保証契約は改正前の民法の適用を受けることとなります(ただし、更新後の債務も保証する趣旨であったことが前提)。

法律家からみても複雑な状況となりますので、賃貸借契約や保証契約等の契約が問題となる場合には、どうぞご遠慮なく弊所にご相談いただければと思います。

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